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「手詰まり」日銀の黒田総裁は再任されるか?

2016年5月10日(火)

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 日銀の金融政策決定会合が4月27、28日に開催された。短いインターバルしか置かずにまた追加緩和に動くのではないかという思惑が市場で広がっていたものの、結果は現状維持だった。

追加緩和の「催促相場」を繰り返す恐れがあった

 1月に続いて4月も追加緩和という事実を作ってしまうと、次は7月に動くのではないか、あるいは11月かというように、市場が追加緩和の「催促相場」を繰り返す「戦力の逐次投入ゲーム」的な状況に日銀が陥ってしまう恐れがあった。

日銀・黒田総裁は追加緩和見送りを決定した。その後、円買い・ドル売りが進み、円高傾向に拍車がかかった(写真:ロイター/アフロ)

 また、マイナス金利幅を拡大すれば銀行の収益見通しが一段と悪化することを通じて株安(さらには円高)を惹起しやすい一方、マイナス金利をそのままにすると為替市場が「この手段は事実上お蔵入りで円高阻止に使えないことが確認された」と受け止めるため円高(さらには株安)につながりやすいなど、「量」「質」「金利」をどのように組み合わせて追加緩和をしても何らかの形でまずい事態につながりかねないという、苦しい事情があった<図1>。

■図1:日銀が追加緩和に動く場合のパターン別「損得比較表」
追加緩和の内容 メリット デメリット・問題点 円安促進効果 株高促進効果
「量」+「質」+「金利」 追加緩和内容の面では「戦力の逐次投入ではない」印象を与えることになり、市場に一定のサプライズ効果を及ぼす。
ETF増額により、マイナス金利幅拡大の株へのデメリットを、一部打ち消す形に。
マイナス金利幅拡大が銀行株中心に株安を促し、円高につながる恐れ。
「量」(長期国債買い入れ)の「札割れ」発生時期が早まる恐れ。
〇~△
「量」+「質」 マイナス金利幅拡大による銀行収益圧迫は回避され、株式市場に安堵感。 ETF買い入れの増額を株式市場は好感する。 マイナス金利幅拡大を行わなかったことで、「金利」の手詰まりを見て取った為替市場のプレーヤーが主導し、円高が進む恐れ。 △~×
「量」+「金利」 マネタリーベースの伸び率加速とマイナス金利幅拡大は、為替市場が好感して円を売る組み合わせ。 ETF買い入れ増額なしとマイナス金利幅拡大という組み合わせは、株式市場にとり最悪。株安→円高の恐れあり。 〇~△ ×
「質」+「金利」 ETF増額により、マイナス金利幅拡大の株へのデメリットを、一部打ち消す形に。 マイナス金利幅拡大が銀行株中心に株安を促し、円高につながる恐れ。
「株のPKO」+「円高対策」であるとして、日本(日銀)が批判されやすい。
○~△
「量」のみ マイナス金利幅拡大による銀行収益圧迫は回避され、株式市場に安堵感。 「質」なしで株式、「金利」なしで為替の市場が失望し、株安・円高が進行か。 × ×
「質」のみ ETF買い入れの増額を、株式市場は好感。 露骨な「株のPKO」とみなされる恐れ。
日銀のバランスシートに信用リスクが一段と蓄積する。
「金利」のみ 為替市場が一時的にせよ円売りで反応する可能性。 マイナス金利幅拡大が銀行株中心に株安を促し、円高につながる恐れ。 ○~△ ×
外債買い入れ 為替市場にとって大きなサプライズで、一定の円高阻止効果が期待できる。為替の動きを見て、株価も上昇か。 為替政策を所掌する財務省が、介入類似策の導入に強く反対する公算大。 「別働隊による為替介入(通貨安競争)」という批判を欧米から浴びる。
外債に連動したETFの買い入れ 株式・為替市場双方にとってサプライズになり、一時的には円安促進効果も。 市場規模が小さい。アナウンスメント効果一巡後には円高方向に揺り戻しか。 ○~△ ○~△
貸出支援基金による資金供給の一部にマイナス金利を適用 マイナス金利が銀行収益に及ぼす悪影響を、部分的には緩和することになる。このため、この選択肢に関連する報道が材料になった4月22日のように、株高・円安に動く可能性。 マイナス金利幅拡大とセットだと、銀行の収益は全体では一段と圧迫される。
「補助金批判」が出やすい上に、貸出金利の低下に拍車がかかる恐れも。 結局、左記の動きは一時的・限定的。
○~△ ○~△
注:「〇」は効果を期待できる。「△」は中立要因。「×」は効果を期待できず、かえって逆効果になることを示している。
(出所)筆者作成

 こうしたまさに「手詰まり」の中、日銀は金融政策の現状維持を選択した。

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「「手詰まり」日銀の黒田総裁は再任されるか?」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員