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相変わらず「敗色濃厚」の黒田日銀

足元の安定でリスクが膨らむという皮肉

2018年6月12日(火)

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(写真=ロイター/アフロ)

 日銀が5月24日に発表した3月の貸出約定平均金利は、貸出市場の需給バランスを素直に反映している、日本経済の「根っこの部分」を反映していると考えられる金利が低下基調を維持していることを、あらためて確認するものになった。

 国内銀行の新規(フロー)・総合は0.636%。前月(2月)の0.600%よりも高くなったが、その前の月(1月)の0.693%よりはかなり低く、3カ月連続で0.6%台にとどまった<図1>。変動型住宅ローンでは一部の銀行の間で、日本で最も低い提示金利を競う動きが、足元でもなお続いているようである。

■図1:貸出約定平均金利 国内銀行 (新規・総合)
(出所)日銀

 また、国内銀行のストック・総合は0.932%で、前月から0.008%ポイント低下した<図2>。今よりも金利が高い頃に実行された貸し出しが満期を迎えると、そのうち借り換えられる部分については、競争が厳しいこともあって、足元の低い金利水準が適用されるのが普通だろう。大まかに言うと、日本では資金を借り入れたい需要側の数・金額よりも、資金を貸したい金融機関の数・資金量の方が、はるかに多い状況である。

■図2: 貸出約定平均金利 国内銀行 (ストック・総合)
(出所)日銀

 したがって、たとえ資金調達原価とみられる水準(長い間大まかに1%前後とされてきた)を下回っても、ストックの貸出約定金利はじわじわ下がっていく。ストック商売が基本の銀行業にとって、時間の経過とともに利ざやが着実に縮小していくというのは、実に重苦しい話である。

マイナス金利は主犯ではない

 こうした状況下、市場の内外でしばしば聞かれるのが、銀行収益悪化は日銀が導入したマイナス金利のせいだとする「マイナス金利主犯説」や、「銀行収益支援のための金利引き上げ論・イールドカーブのベアスティープ化(超長期ゾーンの国債利回りが上昇して利回り曲線の傾斜がきつくなること)論」である。

 だが、筆者はそれらの主張に対して、強く否定的である。

 日銀が2016年1月に導入を突如決定して翌月から適用したマイナス金利が「急性ショック」的に銀行貸出の金利水準を押し下げた(利ざやを急縮小させた)ことは事実である。けれども、それはあくまで、貸出市場の需給バランスが非常に緩いという大きな枠組みの中での一幕であり、貸出金利低下・利ざや縮小という大きな流れの「主犯」というわけではない。

 貸出約定平均金利(新規・総合)のグラフを一瞥すれば、そのことは容易に理解されるだろう。仮に日銀がマイナス金利を解除するとしても、貸出金利の右肩下がりの基調がそれで持続的に反転するとは予想し難い。

コメント11件コメント/レビュー

「日銀の国債引き受け→ハイパーインフレ」論は完全に否定されたと思うが、ここまでやって2%のインフレすら達成できないなのであれば、逆に今のダラダラした国債・株式等を通じた資金供給は続けられるところまで続けてよいのではないか?

この期に及んで、短期的にすらまだ円高になるのか円安になるのかもエコノミストは予測できていない。

この論考でも危機は10年後などと検証不能な無意味な予測をやっている。

「黒田ダラダラバズーカを戦線縮小して→消費税増税」筆者の主張は財務省・日銀プロパーの代理人としての発言としか思えません。(2018/06/12 16:33)

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「相変わらず「敗色濃厚」の黒田日銀」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「日銀の国債引き受け→ハイパーインフレ」論は完全に否定されたと思うが、ここまでやって2%のインフレすら達成できないなのであれば、逆に今のダラダラした国債・株式等を通じた資金供給は続けられるところまで続けてよいのではないか?

この期に及んで、短期的にすらまだ円高になるのか円安になるのかもエコノミストは予測できていない。

この論考でも危機は10年後などと検証不能な無意味な予測をやっている。

「黒田ダラダラバズーカを戦線縮小して→消費税増税」筆者の主張は財務省・日銀プロパーの代理人としての発言としか思えません。(2018/06/12 16:33)

この時期、消費税増税をアナウンスされたら価格を上げるのはためらうでしょう。
そこで消費税を一定期間、減税すればよろしい。例えば3パーセントまで下げてあげれば、現状の8パーセントでの価格までは上げる余地が生まれます。それで景気が回復したら、改めて少しずつ課税率を戻してやれば良い。こんな簡単な事を何故か財務省は反対しますね。(2018/06/12 15:49)

黒田総裁による日銀の長期国債などの大規模な買い入れは、確かに物価上昇をもたらしませんでした。

結局、いくら金利を安くしても需要がない限り物価は上がらないという、ごく当たり前の事実が再確認されたという事でしょう。需要拡大にブレーキをかける消費税増税や、国の財政出動を縛り上げていることが根本的な原因であることが明らかになったと思います。

物価上昇はかないませんでしたが、日銀が市中に出回る国債を買い取ったお陰で、国の実質的な負債は激減しました。現に国債発行残高は1000兆円を超えていますが、市中に出回っている国債(実質的な借金)は年々減り続け、現在600兆円台になっています。
これは黒田総裁の「画期的な成果」と言って良いでしょう。財政再建を完了させたのですから。筆者は健全な価格形成の機能が「封殺」されると批判する前に、むしろ誇るべきでだと思います。財政出動により需要を拡大し、物価を上げる事も可能になるのですから。

また世界一の対外純資産保有国で経済規模も大きく、国の実質的な借金も減り続けている国の通貨が「避難通貨」になるのはごく当たり前のように思えます。(2018/06/12 15:41)

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