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「ヘリコプターマネー」はリスク感覚麻痺の産物

日銀の「追加緩和」見送りの背景を考察する

2016年6月21日(火)

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 日銀は6月15、16日開催の金融政策決定会合で追加緩和を見送り、金融政策の現状維持を決定した。結果が発表された後、円高・株安が一段と進んだわけだが、この現状維持決定の理由になったと考えられることについて考えてみる。
 筆者のみるところ、現状維持決定の要因は以下の4つである。

6月16日の金融政策決定会合で、追加の金融緩和を見送った日銀の黒田東彦総裁。(写真:ロイター/アフロ)

【1】英国EU離脱投票の時期に緩和を行ってもムダ

 EU(欧州連合)に残留するかそれとも離脱するかを問う6月23日の英国民投票などを材料に、市場が「リスクオフ」の方向に大きく傾斜していたため、こうしたタイミングで市場のセンチメントに逆らうように追加緩和を行っても、円高阻止・株価てこ入れという点では、数が限られている追加緩和カードの「無駄使い」「空振り」に終わってしまう恐れが大きい。

 1月29日の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」導入決定は、そうした失敗の前例と言える。中国経済への不安・不信と原油価格下落の2つを主な材料にして、市場のセンチメントが「リスクオフ」に大きく傾いていたため、日銀のマイナス金利導入は「多勢に無勢」の様相を呈し、円高阻止・株価押し上げ効果はほとんど出なかった。

【2】マイナス金利政策の効果を、まだ見極める必要がある

 2月16日に実行に移されたマイナス金利政策による刺激効果が住宅投資や設備投資に及んでくるのを「数カ月」見極める必要があるという説明を、黒田東彦総裁をはじめとする日銀幹部は何度も行ってきた。

 このため、為替が一段の円高ドル安になるというような抜本的な状況変化でもない限り、7月1日に発表される日銀短観(全国企業短期経済観測調査)6月調査の内容、特に2016年度設備投資計画の修正動向などを確認するまで追加緩和には動かないのが、首尾一貫性のある行動である。

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「「ヘリコプターマネー」はリスク感覚麻痺の産物」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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