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物価はやはり上がりにくかった!

「構造的要因」の直視を迫られた日銀

2018年7月10日(火)

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2018年6月15日、記者会見する日銀の黒田東彦総裁(写真:ロイター/アフロ)

 日銀は6月の金融政策決定会合終了後の対外公表文に「物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている」と記述し、「1%程度」から下方修正した。

 そしてその後の記者会見で黒田東彦総裁は、「このところ消費者物価の前年比伸び率が幾分縮小していることは事実」と認めた上で、「こういった物価動向と、一方で世界経済が極めて順調に推移しているわりには、物価がなかなか上がっていかないという状況については、従来から金融政策決定会合の場でも議論し、スタッフも様々な分析を行っています。7月の経済・物価情勢の展望(展望レポート)に向けて更に議論を深めていく必要があると考えています」と述べた。

 日本経済新聞は7月1日、日銀は7月末に公表する展望レポートで18年度と19年度の消費者物価(除く生鮮食品)の見通しを下方修正する方向で検討に入っており、「足元で物価の伸びが鈍いことを反映する形で、翌年以降の見通しを下げるのは異例だ」と報じた。

 消費者物価が日銀の想定通りに上がってこないという問題について、筆者の見解をQ&A方式でまとめてみた。

■(Q1)物価が上がってこないことを憂慮した日銀による上記の動きを、どうとらえるか。

(A1)「右肩上がり」の日銀物価シナリオが、物価上昇の鈍さという現実によって揺さぶられており、もはや説明責任の観点から放置できなくなったということだろう。黒田総裁は6月15日の記者会見で、「総括的な検証」をもう一度行う必要があるとは考えていないと明言した。しかし実際にはまさに、「総括的な検証パート2」が必要な状況であるように思われる。

16年9月の総括を振り返る

 16年9月の「総括的な検証」は、2年程度での物価目標2%達成を目指す「短期決戦」が失敗した原因を総括することで、金融政策の枠組みを「長期戦・持久戦」対応に切り替える根拠になった文書である。

 そこに2%の物価実現を阻害した主な要因として書かれていたのは、①原油価格の下落、②消費税率引き上げ後の需要の弱さ、③新興国経済の減速とそのもとでの国際金融市場の不安定な動き、以上3点だった。

 こうした「外的な要因」が発生して実際の物価上昇率が低下し、「適合的」な(現実に起こった物価の動きに左右されやすい)期待形成の要素が濃い予想物価上昇率が横ばいから弱含みに転じたという説明を日銀は前面に出し、「金融政策の失敗」は一切認めなかった。

 だが、現在では、①原油価格は上昇しており、②消費増税後の需要の弱さは一巡し名目賃金の伸びはプラスとなっており、③新興国経済は一部で動揺しているが世界経済見通しはまだ下方修正されていないため、16年9月のロジックを今回は使うことはできない。

コメント7件コメント/レビュー

社会のおおかたは毎日食っているパンは毎日食っているパンの価値のままであり、
満足していて別に過剰な付加価値のついた品を求めているわけではない、
というだけのことだ。

報道はやたら高付加価値パンに出来る行列を露出して扇動するが
それに乗っかれるのは都市部でかつ既に一定水準以上の
潤沢な生活にあずかることが出来た層のみ。

昨日と変わらない、満足していてその価値認識が変化しないはずの消費材の価値が、
貨幣価値に置き換え得られた数値で引き上げられれば
引き上げられていない従来の数値で入手できる手段を探そうとするのこそが
ごく自然な人の行動だよね。逆に安売りに客を誘導しているだけにもなりかねない。
そこに給与が上がったら平然と物価に追従するという人間モデルを
あてはめているのは経済学に溺れて世の中が見えなくなった者たちの
勝手都合に過ぎない。(2018/07/12 02:04)

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「物価はやはり上がりにくかった!」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

社会のおおかたは毎日食っているパンは毎日食っているパンの価値のままであり、
満足していて別に過剰な付加価値のついた品を求めているわけではない、
というだけのことだ。

報道はやたら高付加価値パンに出来る行列を露出して扇動するが
それに乗っかれるのは都市部でかつ既に一定水準以上の
潤沢な生活にあずかることが出来た層のみ。

昨日と変わらない、満足していてその価値認識が変化しないはずの消費材の価値が、
貨幣価値に置き換え得られた数値で引き上げられれば
引き上げられていない従来の数値で入手できる手段を探そうとするのこそが
ごく自然な人の行動だよね。逆に安売りに客を誘導しているだけにもなりかねない。
そこに給与が上がったら平然と物価に追従するという人間モデルを
あてはめているのは経済学に溺れて世の中が見えなくなった者たちの
勝手都合に過ぎない。(2018/07/12 02:04)

エリートの方々と庶民の感覚の大きなズレが原因。
コーヒーは100円、車は軽で充分100万円あれば買える。電気製品や服は量販店か通販で……そもそも定価ってなに?と言うくらい、割引てくれる。スシは回転寿司。100円ショップへ行けば、何でもそろう……
食料品はもちろんスーパーをリサーチ!(成城石井ではなくて……)
給料も上がらず、金利も上がらず、年金は減らされる……
庶民の自己防衛は、エリートの皆さんには想像出来ないでしょう!
黒田さんも、上記の場所で定点観測していれば、見解が違ったのでは?(2018/07/11 00:53)

 統計の劣化があり,本当に物価は下がっているのかという疑問がある。会計原則的考えで,日銀は保守的で継続性重視になる。経済基盤が劇的に変化する状況下では金融政策は必ず後手を踏む。それを避ける方法はリーダーの覚悟と見識,果敢で断固とした態度だろう。思い浮かぶのは高橋是清翁だ。黒田総裁はエリートの割には果断で見事な采配をこなしてきた。だがそろそろ限界ではなかろうか。
 物価を上げる。という視点がそもそもずれているのではないか。物価が上がりにくくなっているのは当然だ。その状況を受け入れて,成長性が鈍化した経済を受け入れて,なおかつ発展する経済をいかに作るか。価値観の転換が必要だ。それははたして日銀総裁の責任範囲にあるのだろうか。政権の賞味期限がじんわりと露になっている。(2018/07/10 12:39)

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