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黒田総裁「ピーターパン」「薬は飲み切る」発言を考える

2015年7月21日(火)

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 安全保障関連法案の国会審議で、横畠裕介・内閣法制局長官が「フグ」の例えを用いて安倍内閣による憲法解釈の正当性を強調したことが注目された。

 2015年6月19日の衆院平和安全法制特別委員会で横畠長官は「(フグは)毒があるから全部食べたらそれはあたるが、肝を外せば食べられる」と答弁。包括的ではなく限定的な集団的自衛権ならば合憲だとした。同長官はその後、2015年6月26日の答弁で今度は「青いバラ」の例えを用いて説明した。

 市場関係者が常時ウォッチしている要人の中でこうした例え話を用いることが最近多いのが、黒田東彦日銀総裁である。今回は、総裁の「ピーターパン」発言と「薬は飲み切る」発言を取り上げる。

■「ピーターパン」発言

(2015年6月4日 日銀金融研究所主催2015年国際コンファランスにおける開会挨拶)
「皆様が、子供のころから親しんできたピーターパンの物語に、『飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう(The moment you doubt whether you can fly, you cease forever to be able to do it)』という言葉があります。大切なことは、前向きな姿勢と確信です」

~ 人々の期待インフレ率が上方にシフトすることで現実の物価上昇率も上方シフトするはずだという強い信念を抱いている黒田総裁らしい発言だと言える。

 だが、普通の人が幻想の世界に迷い込んで、文字通り本当に飛べると思い込んでどこかから飛び降りたりすれば、大変なことになるだろう。

 また、ピーターパンと聞くと、以前によく話題になった「ピーターパン症候群(シンドローム)」を、筆者は同時にどうしても思い出してしまう。身体は成熟している大人なのに子どものような言動をする男性などを指す言葉で、米国の心理学者であるダン・カイリー博士が提唱し、日本でも一時盛んにマスコミに取り上げられた。

ピーターパンは重々しい内容だった

 インターネット上にあった解説によると、この名称の由来となっているのは英国・スコットランドの作家であるJ・M・バリー原作の戯曲「ピーターパンあるいは大人になりたがらない少年」で、20世紀初頭の中産階級が抱える問題点を描いた重々しい内容だという。

 ディズニーのアニメ映画「ピーターパン」では、人物の設定が大きく変更された。この映画に出てくる方のピーターパンについて総裁が述べたことはコンファランスの出席者もすぐ分かったと思われるが、スコットランドなど英国からの出席者がいたとすれば、内心やや複雑な思いを抱いたのではあるまいか。

 なお、この「ピーターパン」発言は市場関係者向けの経済コラムなどで、格好の題材として以下のように何度か取り上げられている。

◇「ピーターパンのように自由に空を飛べると本気で信じるぐらいでなければ、インフレレジームへの転換をやり遂げるのは難しいということか」(2015年6月8日 時事通信 〔金融観測〕「マネタリー・ピーターパン」化する黒田日銀)

◇「ピーターパンを引用してデフレ脱却への前向きな姿勢をアピールした黒田東彦日銀総裁が、為替でつまずいた。『飛んだばかりの「ピーターパン総裁」が円急騰を招く失言で落ちた』(銀行系証券アナリスト)と評されている。問題は、落ちた理由で、市場では『内外の円安懸念が意外にも重しになっていたのではないか』(同)と推測される」(2015年6月11日 時事通信 〔外為ウォッチ〕「ピーターパン総裁」が落ちた理由=円安懸念が意外な重しに?)

コメント4件コメント/レビュー

『年2%の物価上昇』『異次元の量的緩和』なんて、状況も見ずいつまでも言っていたら、「裸の王様」「オオカミ少年」になっちゃう。いやもう成りはじめている。(2015/07/21 14:05)

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「黒田総裁「ピーターパン」「薬は飲み切る」発言を考える」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

『年2%の物価上昇』『異次元の量的緩和』なんて、状況も見ずいつまでも言っていたら、「裸の王様」「オオカミ少年」になっちゃう。いやもう成りはじめている。(2015/07/21 14:05)

異次元緩和は、金融政策でインフレマインド(景気上昇を伴う物価上昇意識)を作れるか?という挑戦だった筈ですが、もし国民にインフレマインドが醸成されているなら、国立競技場への2500億円の出費が世論から批判されることもなく、逆に景気が良くなって税収が増えるのだから国威掲揚のためにもっと出せという論調になったはずです。
なので、現状国民のインフレマインドの醸成は上手く行っていないわけで、デフレ脱却をするには何らかの施策追加か変更が要るでしょう。
秋以降の黒田日銀の動きがどうなるか興味深いです。(2015/07/21 12:44)

それで、「日銀保有の長期国債」が増加するとどのような症状が出るのでしょうか?
私の記憶では、国債の信認が揺らいで国債の金利が暴騰して日本は終わる~と叫ばれていた方が多かった気がしますが。
あれ、国債の金利って上昇しましたっけ?
確かに、今の日本の症状に対して、金融緩和だけでは(少なくとも短期的には)効果が出ないことが分かってきました。
それでも民主党政権下の異常な円高(決して円安がすべて良いと言っているわけではない)の対策や、それに付随する株価の上昇には繋がったと思います。
世の中には無駄な薬もたくさんあるでしょうが、薬を減らして死んでしまうなんて例もあるわけです。
慢性的なデフレ・不況という病気に対して、症状が改善しきる前に薬を減らすの正しいとは一概には言えないでしょう。
効果的でないのであれば、副作用が見られないの範囲で手術なり、他の薬を増やすなり(私は財政出動しかないと思っています)して、一度健康状態になるまで戻し、そこから薬を減らすのが正道というものでしょう。(2015/07/21 10:51)

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