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新幹線放火事件で心配が増した「老後の年金生活」

2015年8月4日(火)

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 広い意味での国の借金である一般政府債務残高の対名目GDP(国内総生産)比が2014年に246.4%(国際通貨基金<IMF>推計)となるなど、日本の財政状況は先進国の中では突出して悪い。従って、財政を立て直して持続可能な状態にするのが喫緊の課題であることは論をまたない。

 だが、高齢化が着実に進んでいく流れの中では、歳出改革の「本丸」である社会保障関係費に大きく切り込むことに対し、政治的な抵抗がどうしても強くなる。有権者(および実際に投票に出向く人々)における高齢者の比率が上がることで、いわゆる「シルバーポリティクス」が幅を利かせやすくなっているという現実がある。

現実離れしたGDP成長率の背景

 そうした中で安倍晋三内閣が選んだのが、将来の名目GDPの成長率を(現実離れしているという批判を覚悟の上で)かなり高めに想定した上で、そのことから導き出される税収の大幅増加見通しを柱にして、財政の健全化が実現するだろうというストーリーを描くことだった。

 上記のような政治的現実を念頭に置いた上で、歳出への切り込みや10%を超える水準への消費税率の引き上げには頼らないシナリオが、かなり無理をして描かれたと言えるだろう。

 その財政健全化プランが含まれている最新の「経済財政運営と改革の基本方針2015」(いわゆる骨太の方針)や改定成長戦略が閣議決定されたのと同じ6月30日に、東海道新幹線の車内で衝撃的な放火事件が発生した。容疑者の男性(事件当時71歳)は年金生活者で、高齢による体力の限界を理由に仕事を辞めた後、年金受給額の少なさに不満を漏らしていたという。

 年金問題についての国民の意識にも一定の影響があったと考えられる事件なので、全国紙2紙の社会面の記事から一部を引用したい(文中の容疑者の氏名は筆者の判断で削除した)。

 「神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線『のぞみ225号』で男が焼身自殺し、巻き添えになった乗客が死亡した事件で、自殺した容疑者(71)=東京都杉並区西荻北=は年金を受給しながらも生活苦を周囲に訴えていた」

 「容疑者は、近所に住む女性(68)が経営する居酒屋の常連客だった。女性によると昨年、高齢を理由に清掃会社を辞め、年金を受給するようになった。だが『月の年金が約12万円で、約4万円の家賃と税金や光熱費を払うと手元にわずかしか残らない』などと受給額に不満を漏らしていたという」
(7月2日 毎日)

コメント23件コメント/レビュー

>運転席のすぐ後ろで焼身自殺したのに、3合車までが煙で充満したというのは驚きだった。先日の苫小牧沖のサンフラワー号火災も同じだ  高速交通機関や船舶は気密性を確保する必要がある(特に船舶は浸水を避ける為。消火しようと迂闊に貨物室を開けたら酸素の流入で爆発的なバックドラフトを招く危険があり鎮火まで時間がかかる)ので排気が難しいことに因るものでしょう。テロ対策については危険性と経済合理性のバランスを考慮すべきで、拙速な対策は却ってマイナスになると思います。本文とは直接関係ありませんが一言コメントさせて頂きました。(2015/08/05 14:22)

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「新幹線放火事件で心配が増した「老後の年金生活」」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>運転席のすぐ後ろで焼身自殺したのに、3合車までが煙で充満したというのは驚きだった。先日の苫小牧沖のサンフラワー号火災も同じだ  高速交通機関や船舶は気密性を確保する必要がある(特に船舶は浸水を避ける為。消火しようと迂闊に貨物室を開けたら酸素の流入で爆発的なバックドラフトを招く危険があり鎮火まで時間がかかる)ので排気が難しいことに因るものでしょう。テロ対策については危険性と経済合理性のバランスを考慮すべきで、拙速な対策は却ってマイナスになると思います。本文とは直接関係ありませんが一言コメントさせて頂きました。(2015/08/05 14:22)

記事の最後、「妥協点は見当たらない」にがっかり、読まなければよかったと思いましたよ。(2015/08/04 22:31)

自分自身持ち家もなく安い年金暮らしをしなければならない状況に置かれれば、全国で生活費、特に「食」と「住」が安い土地に移住する。12万円も年金貰って少な過ぎて生活出来ないからからと人を巻き添えにして焼身自殺する様な愚かな人間は許せない!巻き添えを食って亡くなった方には言葉もない。年金の貰えない現役で同じ程度の収入でカツカツの生活をしている人さえもいるのに。それよりも驚いたのは、運転席のすぐ後ろで焼身自殺したのに、3合車までが煙で充満したというのは驚きだった。先日の苫小牧沖のサンフラワー号火災も同じだが、公共交通機関がこれ程火災に弱いのではテロへの備えも出来ていないと言える。この様な準備不足状態でテロリストたちへの対決姿勢を鮮明にしている政府に危なっかしさも感じている。災害対策やテロ対策は戦力を高める以前の基礎的な備えであり、先進国の一員としては恥ずかしいレベルと言える。このままでは数人の「危ないテロリスト」が入り込んだだけで日本は機能麻痺状態にされてしまいそうだ。早急な対策を!(2015/08/04 20:17)

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三品 和広 神戸大学教授