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中国株「官製バブル」崩壊、売りが売りを呼ぶスパイラル

2015年8月11日(火)

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 中国の政策当局は4月下旬から6月中旬にかけて、「ITバブル」崩壊の穴埋めを住宅バブルという別のバブルの助けを借りながら行ったアラン・グリーンスパンFRB(連邦準備制度理事会)議長(当時)の戦略や、住宅バブル崩壊の後始末を3度にわたる量的緩和(QE)で株価上昇を促しながら行ったベン・バーナンキFRB議長(当時)の戦略を参考にして動いたように見える。すなわち、住宅など不動産のバブルが崩壊して信用不安が広がりつつあることへの対応策の一環としての、株価上昇促進策である。

 だが、実体経済・企業業績の改善という裏付けを伴わないまま、上海総合指数の4000という水準は「ブル(強気)相場の入り口」として株式購入を国民に事実上促した4月21日の人民日報掲載の論説を最大の原動力にして形成された中国株の「官製バブル」は、意外に早いタイミングで一気に崩壊した。

 上記の論説が掲載された後、株価上昇は当局のお墨付きだと判断した人々が預金を引き出したり借金をしたりして株を買う中で、上海総合指数は急騰し、6月12日に終値で5166.350になった<図>。

■上海総合指数
(出所)上海証券取引所

 しかしここから、中国の株式市場は急速に不安定化。膨張した信用取引残高への恐怖感、ギリシャ情勢など海外発の不安材料、市場が期待したタイミングでは人民銀行が追加利下げに動かなかったことなどから、売りが売りを呼ぶスパイラルに陥った。

 政策当局が矢継ぎ早に打ち出した株価てこ入れ策にもかかわらず、7月8日には終値が3507.192になってしまった。上記の直近ピークから▲32%程度の暴落である。パニック的なバブル崩壊のさなかでは、当局主導のPKO(プライスキーピングオペレーション;株価買い支え策)、株式の新規公開(IPO)停止、信用取引規制の緩和、大口株主による株式売却の制限、違法売買の摘発強化といった一連の強引な株式需給対策は、効果が出にくかった。利下げも行われたが、株価浮揚の切り札にはならなかった。

市場関係者に広まる「中国異質論」

 その後、中国株の売買で7~8割を占める個人投資家の損失確定売りが進んでポジションが整理される中で、中国株は徐々に安定しつつあるように見える。だが、売買停止となっている銘柄がまだ多い上に、節目である4000を安定的に上回る状況にはなっていない。

 また、「官」の過剰な介入によって中国の株式市場が健全な価格形成メカニズムの機能しにくい状態になってしまったことは、大きな問題である。クリスティーヌ・ラガルドIMF(国際通貨基金)専務理事は上記のような中国当局の対応を擁護する発言をしていたが、日米欧の市場関係者の間で「中国異質論」が改めて強まったことは間違いない。

 さらに、当局による異様なまでの株価てこ入れ策の連発は途中から、政治的に極めて重要な政策という色彩を帯びた。というのも、今回の株価急落を受けて中国人の間では共産党指導部への不信感めいたものが広がったとみられるからである。

 筆者の同僚の中国人社員は「政府が言うことを信じて裏切られたのは初めてで、ショックは大きいです」と、真剣なまなざしで語っていた。共同通信によると、共産党中央宣伝部は「株式市場の問題が政治化するのを回避し、(批判の)矛先が共産党や政府に向かうのを防げ」という緊急通達を出したという。社会不安の広がりは、この国では政権の存続可能性の問題に直結しかねないのである。

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「中国株「官製バブル」崩壊、売りが売りを呼ぶスパイラル」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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