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「財政規律」を訴えなくなった黒田総裁

以前は「財政健全化目標」に言及していたが…

2017年10月10日(火)

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日銀の黒田東彦総裁。以前は「財政規律」に注文をつけることもあったが、最近は…。(写真:ロイター/アフロ)

日銀の大規模金融緩和の副作用

 「長期戦・持久戦対応」に切り替えて、大規模で実験的な金融緩和を日銀が粘り強く続ける中、すでに最もはっきりと出てきている副作用・弊害は財政規律の緩みだと、筆者はみている。いわゆる「悪い金利上昇」により財政運営に警告シグナルを発する債券市場の機能が消滅しており、「お目付け役」がいない状態になってしまっている。

 政府は8%から10%への消費税率引き上げに伴う増収分の使途を拡大し、借金減らしに回す金額を下方修正する方針。あわせて、2020年度の基礎的財政収支黒字化という財政健全化目標の先送りを行うことを、安倍首相が9月25日にコンファームした。だが、その直前に大阪で行われた記者会見で黒田日銀総裁が何度も口にしたのは、「デモクラシー」という単語だった。

 10%への消費税率引き上げの延期・再延期が決まった後には、黒田総裁はもう少し、政府による財政運営(財政規律)に注文をつけていた感が強い。日銀ホームページ掲載の記者会見録から該当部分を引用し、今回の大阪での発言と比べてみたい。

「財政規律を守るという政府のしっかりした対応が重要」

■2014年11月19日 黒田日銀総裁記者会見
[8%から10%への消費税率引き上げ時期を2015年10月から2017年4月へと1年半延期することを、安倍首相が11月18日に正式表明した翌日]

 「何よりも重要な点は、財政規律を守るという政府のしっかりした対応であると思います。政府も、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための努力、そのための取り組みを着実に推進していくとした上で、『中期財政計画』を策定し、そこに健全化に向けた数値目標も掲げられ、その達成に向けた取り組みを明確に示していますので、日本銀行としては、こうした計画に沿って持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に進めていくことが極めて重要ではないかと思っています」

 「また財政規律の問題は、もちろん政府・国会の問題であり、財政の規律が失われ財政の問題が生じてくると、財政の最も重要な機能である公共サービスの提供が難しくなってくる、あるいは所得再分配という重要な機能も障害を持ってくる、さらに言えば、景気調整機能にも影響があり得るわけで、財政についてはそうした様々な問題が生じ得ますので、財政規律は極めて重要であり、しっかりと確立し、守っていかれることを強く期待しています」

 「なお、財政規律の問題については、政府・国会の責任であり、中央銀行が責任を取るといった問題ではありません。あくまでも中央銀行としては、2%の『物価安定の目標』をできるだけ早期に実現することが課せられた課題であり、それに向けて着実に前進するということが何よりも重要であると思っています」

コメント5件コメント/レビュー

「アホノミクソ」は大失敗
それに加担した責任を問われたくないから(2017/10/16 10:42)

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「「財政規律」を訴えなくなった黒田総裁」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「アホノミクソ」は大失敗
それに加担した責任を問われたくないから(2017/10/16 10:42)

日本の政府債務がどこまで維持可能か?は興味深いアジェンダと考えています。
現在は直近38ヶ月連続の経常黒字で、企業や資産家が海外に投資してそのリターンを得る構造が常態化しています。
この構造は、民間企業の利益と内部留保が右肩上がりな割に雇用が増えない(直近の雇用者数増加は殆どが医療・介護分野で製造業は横ばい)ことからも見て取れます。
個人的には、この構造が維持される限りは民間の経常黒字で政府債務をファイナンスし続ける事が可能と見ていますが、さてどうなりますか。
ただ、仮に当面政府債務がファイナンス可能だとしても、民間の一部の金融資産が増大し続ける一方、公的機関の債務が増え続ける事は、将来の所得格差が広がる事を意味しており、現在は望ましい状況では無いと考えます。
親から金融資産を受け継げる層は良いとして、受け継げない層は将来資産が無い中でインフレ税を支払う羽目になるでしょう。(2017/10/10 18:52)

最近国を挙げて財政再建(国家債務の返済)不要の機運が高まっているように感じるのは自分だけではないと思います。これまで国債の買い入れまでしても財政は破たんするどころか、皆がハッピーと感じている事に味をしめて、このまま巨額の国債残高など無かった事にしても何の問題もないと言う論調が広まっているようです。国債は国内で買われているから投資の循環にすぎないとか、高齢者の資産を引き出す役割を果たしているとか、まこと子供じみた理屈をつけて正当化していますが、経済・金融理論のどこを引っくり返しても、借金を返さなくて良い方法など書いてないはずです。ついに中央銀行総裁までもが、国家債務の返済不要論に傾きだしたのでしょうか?それとも単に保身のためポピュリズム政治の流れに逆らわない発言をとっているだけでしょうか? はたまた歴史上前例のない、金が無限に湧いて出る国家が出現したと言う事なのでしょうか。逆に来たる大激震を予期して顔をそむけているのか。いずれにしてもただならぬ事態なのは間違いなさそうです。後の教科書に載るような歴史的転換点にいるのかもしれませんね(W)(2017/10/10 12:10)

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