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「デスノート」から浮かび上がる「現代の若者」像

2015年11月17日(火)

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若者の未来を真剣に考えよう

 日本という国が将来どういうコースをたどり、繁栄・衰退いずれに向かうのかを最終的に決めるのが、現在の若い世代であることは論を待たない。そうした問題意識も抱きつつ、筆者はさまざまなジャンルの本を読むようにしている。ここでは、最近読んだものの中から3冊から引用して、取り上げたい。いずれも問題点の率直な指摘や考えさせられる内容を含んでいた。

「精神的な飢え」が頑張る原動力に

①がんばる芸能人の「精神的な飢え」を指摘した、中森明夫『寂しさの力』(新潮新書)

第3章「芸能界は、さみしさの王国」

「私はこれまでにたくさんの芸能人を取材してきました。そうして彼ら、彼女らに共通するところがあるのに気づいた」

「実に複雑な家庭で育った人が多いんですよ」

「端的に言って、片親。幼くして両親が離婚している。父や母が亡くなっている。親が再婚して血のつながらない兄弟姉妹がいる。義理の父や母に子供の頃からいじめられたり、虐待を受けた者も珍しくない」

「ハングリー精神という言葉があります。貧しいから、がんばる。飢えているから、欲望が強い。成功したい。お金が欲しい。偉くなりたい。今より高い地位、豊かな生活をめざしたい」

「人間にある基本的な原動力です」

「とはいえ、今や飢えて死ぬような貧しい人は、もうこの国にはいないでしょう。経済的なハングリーではない。たとえば家族関係に恵まれない―といった精神的な飢えが浮上する」

「芸能界は大変なところです。入ってみたら、見かけの華やかさと違って、とてもきびしい。縛りはきついし、毎日が激しい生存競争で、成功して生き残るのは至難の業。たいていの人は、すぐにやめてしまう」

「そう、やめてしまうのが普通なんですよ。やめないとしたら、よほどの理由がある。たとえば、そう、ハングリー精神。お金じゃないんですね。精神的な飢えのようなもの。そこで片親の子供、複雑な家庭で育った娘といった話になるんです」

「あるオーディションの審査会でのこと。主催の芸能プロダクションの社長さんが候補者の履歴書を見ていて、こういった。『おっ、この子は片親だな。いいよ。片親の子はがんばるから見込みがある』」

 日本で人気が出ているタレントはたしかに、子どもの頃に両親が離婚して母親だけに育てられるなど、不幸な家庭環境で育ったケースが少なくないように思う。親のすねをかじるといった甘えが通用しないからこそ、芸能界という厳しい世界で孤独に耐えながらじっと努力を続けることができて、それが最終的な飛躍につながるのだろう。

コメント15件コメント/レビュー

一部の狭い現象にクローズアップして、現在の若い人はこうだ、と読み手に印象づけようとするのはフェアな態度ではないと思います。その時代背景だからこそ起きる事件というのはあるでしょうが、そのひとつの事象をもってその世代を総括してしまうのは乱暴というものです。人間の根本はそう簡単には変わらないと思います。たとえば今の私の周りにいる新入社員は、礼をわきまえ、時には非礼なこともあり、いつも汗水たらして働き、時には笑い、時には歯をくいしばり、時には自分の話をし、時には会社や社会の未来の話をし、いつも一生懸命努力しています。私の時代と何も変わりません。時には仕事についていけない人がいることもありますが、そういう人がいることも私の時代と何も変わりません。

若い世代のことを総括したいなら、もっと真摯に若い世代のことを勉強してからにすべきではないでしょうか。(2015/11/18 19:27)

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「「デスノート」から浮かび上がる「現代の若者」像」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

一部の狭い現象にクローズアップして、現在の若い人はこうだ、と読み手に印象づけようとするのはフェアな態度ではないと思います。その時代背景だからこそ起きる事件というのはあるでしょうが、そのひとつの事象をもってその世代を総括してしまうのは乱暴というものです。人間の根本はそう簡単には変わらないと思います。たとえば今の私の周りにいる新入社員は、礼をわきまえ、時には非礼なこともあり、いつも汗水たらして働き、時には笑い、時には歯をくいしばり、時には自分の話をし、時には会社や社会の未来の話をし、いつも一生懸命努力しています。私の時代と何も変わりません。時には仕事についていけない人がいることもありますが、そういう人がいることも私の時代と何も変わりません。

若い世代のことを総括したいなら、もっと真摯に若い世代のことを勉強してからにすべきではないでしょうか。(2015/11/18 19:27)

上野さんのコラムは誤解されやすいのか。。。コメント欄が盛り上がりますよね!◆いつの世も若者はいわゆる年上目線の若者観には反発するのが常ですし、個人的にはもっと反発してほしいと思います。それによって、若者が社会をどう見ているのかがわかるし、問題がより顕在化するからです。◆取り上げられている本の中身はともかく、若者を取り囲む社会の一部を表しているとは言えるでしょう。ここでは、若者と環境との関係を三つのキーワード(1)貧困とハングリー精神(2)教師(ある種の権威)に対する反抗(3)日常と幻想(非日常)との極端な乖離、に集約しています。この中で最も重視すべきは、(3)です。日常と非日常の極端な乖離があり、それが問題だ、というのなら、そのギャップにどのような「橋」を架け、どう渡っていけばいいのか、大人が若者に手本を見せなければなりません。◆本文に「国の未来のために命を捧げるのは『美しい』という幻想は持っても、自分が軍隊に入れられて前線で血を流すという現実は遠ざけてしまう」との引用がありますが、これ、若者に限ったことではないですよね? むしろ安保強化にシフトした現政権は、どのような具体策をお持ちなんですかね。少子高齢化です。社会保障制度の維持だけでなく、軍人確保の当てはあるんですか? 米国の陸軍海軍空軍海兵隊は入隊勧誘のテレビCMをいつも流していますよ。テロとの戦いが激化すれば、自衛隊の海外出動は多くなりそうですよね。現実問題として、どう人員を確保するつもりなの? 若者というより、まず大人が考えを示すべきではないの? 人口に占める割合の高いシルバー世代が入隊してくれるの?(2015/11/18 17:59)

順に反論を、精神的なハングリー精神のある芸能人が成功する。統計取ったんですかね。にわかには信じられません。なぜ2世の芸能人が多いのか、実力主義でないからでしょう。スポーツ界の2世との比率を比べれば簡単に想像つきますよ。どちらかと言うと、芸能界でしか成功できないような境遇の人が沢山いるという貧困問題のように感じます。
▽教師が体罰できなくなったのは、マスコミのせいでしょう。まあ少年法で加害者を責められないので、教師を責める。結果イジメは教師のせいにされるという構図。どう考えてもいじめたやつらが一番悪いのに、ほぼおとがめなしですからね。そいつらがずに乗るのは当然でしょう。
▽デスノートという二流マンガをセカイ系の代表にするのはどうかと思います。あの話途中で演出で行き詰って、主人公のライバルを不自然な殺し方したり、いろいろ伏線張ったデスノーとの機能をほぼ使わないで終わったりしていますよ。そもそもデスノートがドリームノートのパクリだし。
▽セカイ系の創作物が流行っているのは、もともとはゲームからの派生だと思います。若者と社会のかかわりを論じるには、説得力が感じられません。もう少しいろいろな作品の傾向を分析して語ってほしいです。(2015/11/17 21:39)

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