• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

日銀ホームページの英訳がちょっと謎なワケ

2015年12月1日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 リフレ派の官庁エコノミスト出身である原田泰日銀審議委員が11月11日に栃木県金融経済懇談会で披露した挨拶(講演)と記者会見に関するマスコミ各社の報道をざっとさらってみた。雇用が悪化して物価を基調的に上昇させるメカニズムが危うくなればちゅうちょなく追加緩和を行う必要があるとした部分や、現在の段階では追加緩和は必要ではないとした発言、追加緩和の手段はいくらでもあるという主張を前面に出した報道が多かった。

 だが、報道などを通じて世の中の注目をもっと集めてもよかったと筆者が考えるのは、原田委員が講演の中で、「『量的・質的金融緩和』で国債を発行しやすくなり、財政規律が弛緩する」という批判に対し強く反論した部分に見いだされる、以下の発言である。

「しかし、金融政策の目的は、デフレマインドを払拭し、2%物価目標を達成し、それを通じて実体経済を改善、安定化することです」

「そもそも、金融政策で財政規律が弛緩するなら、増税しても同じです。国債を発行しやすくなれば使ってしまうというのなら、私は、増税して収入が増えれば使ってしまうだろうと思います。財政は、政府と議会が責任を持って規律を維持するべきもので、金融政策とは関係がありません」

 この発言にマスコミ各社がニュースバリューをあまり見いださなかった理由を筆者なりに推測すると、以下の3つになる。

事実上は日銀による財政ファイナンス

①「政策の目的があくまで2%の物価目標達成にあるのだから日銀による大規模な国債買い入れは財政ファイナンスではない」という主張は、黒田東彦総裁が常々口にしている話でもあるので、新味が乏しい(ちなみに、債券市場のプロの間では、日銀は事実上財政ファイナンスに手を出しているという見方が大勢である)。

②「量的・質的金融緩和」は事実上アベノミクスの一環として展開されているので、日銀内から政府への強い批判やけん制はもともと出てきようがない(現状追認的なコメントが日銀から出てくるのは当たり前)。

③財政規律は金融政策とは無関係だという原田審議委員による今回の踏み込んだ発言は、就任直前の発言(たとえば朝日新聞デジタルのインタビュー記事など)とほぼ同じなので、改めて報じる必要性が乏しい。

 だが、日銀による大規模な長期国債買い入れは、実態として、財政ファイナンス(中央銀行による国の財政の資金繰り支援)に相当近い状況を日本で作り上げている。そして、ある事柄の適否は、行為者が何を意図しているのか(=当事者の主張)だけでなく、現実に何が起きているのか、何が将来起きる可能性があるのかについても十分に考慮した上で判断していく必要があるというのが、昔から変わらぬ筆者の考えである。

コメント4

「上野泰也のエコノミック・ソナー」のバックナンバー

一覧

「日銀ホームページの英訳がちょっと謎なワケ」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック