• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

トランプ氏、「途中退席」覚悟で米朝首脳会談へ

金正恩と文在寅に「空爆カード」を取り上げられ、目算狂う

2018年5月2日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

ドナルド・トランプ米大統領は南北首脳会談をどう評価していますか。

高濱:トランプ大統領は、南北首脳が会談で朝鮮戦争終結に向けた決意を示し、朝鮮半島の「完全非核化」で合意したことを前向きに評価しています。そして6月初旬までに予定されている米朝首脳会談で非核化を実現したいとの意向を改めて表明しました。

(写真:AP/アフロ)

 しかしその一方で「南北朝鮮にしてやられた」と思っていることは隠しきれません。トランプ大統領は28日、こう述べています。「米朝首脳会談で私は前任者たち(歴代大統領)のようにうまく操られることだけはしない。オーケー? 必ずや取引(deal)を成功させてみせる。できなかったらどうする。それでも結構(fine)だ」

 今回の南北首脳会談は歴史的出来事だと世界中が称賛しています。が、南北朝鮮統一問題にしても「非核化」にしても、具体的にどうするのかは「板門店宣言」に書かれていません。ロードマップがあるわけではありません。

 金正恩・朝鮮労働党委員長は、その「板門店宣言」を引っ提げてシンガポール(米朝首脳会談の開催地として有力視されている)に乗り込みます。もっともトランプ大統領は4月30日に「開催地は板門店が象徴的」などとツイートしており、そうなると金委員長は板門店を再訪問することになります。

南北首脳会談は儀礼に彩られたパフォーマンス

 トランプ大統領の今の心境はこうでしょう。「金正恩は、同胞愛を強調する儀礼に彩られたエモーショナルなパフォーマンスを首脳会談の場で見事にやってのけた。金王朝の存続を韓国に約束させ、非核化の中身は懐に秘めたまま、文在寅と示し合わせて、米国の軍事力行使を封印してしまった」(米主要テレビのコメンテイター)。

どうして、米国の軍事力行使を封印したことになるのですか。

高濱:南北朝鮮の指導者が「もう戦わない」と宣言してしまったからです。朝鮮半島の直接の当事者が無条件で「不戦宣言」をしてしまったら「助っ人」である米国は、「サージカル・アタック」(核施設だけを狙う限定的攻撃)などはできなくなってしまうではありませんか。

 AP通信でピョンヤン支局長を務めるエリック・タルマージ氏はこうコメントしています。「金正恩は、トランプにこう言い放つでしょう。<私は文在寅と朝鮮戦争終結に向け、当事者の南北朝鮮、米国、中国と四者で話し合おう、朝鮮半島の『完全非核化』(complete denuclearization)を実現しようということで合意した。米国はどうする>」。

 「空爆を含め、あらゆる選択肢を保持して、保有している核の完全放棄を金正恩に要求しようと目論んでいたトランプにとって、米朝首脳会談の前に切り札の一枚を取り上げられてしまったようなものだ」

("AP Analysis: Korea summit put nuclear ball in Trump's court," Eric Talmadge, AP, Washington Post, 4/28/2018)

トランプ大統領は米朝首脳会談にどう臨むのでしょう。

高濱:トランプ大統領は、これまで口を酸っぱくしてこう言ってきました。「北朝鮮に核ミサイル開発を中止させるだけでなく、すでに保有している核兵器やミサイルも放棄させる。北朝鮮がそう確約しなければ首脳会談などやっても意味がない」。

 ですから首脳会談をやるからには「核兵器放棄」の約束を北朝鮮から取り付けようとするでしょう。

 米国内では、強面なトランプ大統領への期待が、かつて北朝鮮の核開発阻止交渉を担当した専門家たちからも高まっています。バラク・オバマ政権下で国防副次官補だったエイブラハム・デンマーク氏は、「金委員長に会うからには口約束だけでなく、核放棄に関する詳細なロードマップを提示させるべきだ」と注文をつけています。

("Why Trump's Boasts About the Korea Summit are Premature," Robin Wright, New Yorker, 4/27/2018)

オススメ情報

「アメリカ現代政治研究所」のバックナンバー

一覧

「トランプ氏、「途中退席」覚悟で米朝首脳会談へ」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

断ればいいんです。値段を上げればいいんです。そうしないと労働時間の短縮なんて、できるはずないですよ

神津 里季生 連合会長