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トランプ政権はレッドラインを決めた

グアムを狙えば米国は自衛権行使で報復攻撃

2017年9月21日(木)

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(写真:KCNA/UPI/アフロ)

金正恩・朝鮮労働党委員長は、9月15日の中距離弾頭ミサイル(IRBM)発射を成功させ、「核戦略の完成がほぼ終着点に達した」と高らかに謳い上げました。国連安全保障理事会(安保理)の制裁決議も何のそのといった感じですね。

高濱 北朝鮮に核ミサイル開発を放棄させるためには、米国は北朝鮮に対して、経済面で死活的なダメージを与えるしかありません。その障害になっているのが中国なら、その中国を制裁するしかありません。

 となると、北朝鮮問題は米中貿易問題へと発展せざるをえません。

 米中間には為替、貿易、投資、知的所有権問題など摩擦要因が既にいくつもあります。これらは北朝鮮問題があるなしかかわらず、既に交渉の俎上に乗っているアジェンダです。

 米国が北朝鮮に絡んだ対中制裁措置を打ち出せば、中国も報復に出るでしょう。経済制裁とは、まさに兵器を使わぬ「戦争」です。

 ワシントンでは、日本や韓国に対して「高度に洗練された軍備の導入を支援」(トランプ大統領が示唆)する問題、韓国への核兵器再配備、日本との「ニュークリア・シェアリング」(核兵器の共有)構想*などが注目を集め始めています。これに一番敏感に反応しているのは中国です。

 米国は、北朝鮮がこのまま「核保有国」となれば日本も韓国も黙っちゃいないゾ、と脅しているのでしょう。米国はこうした「軍事的要素」を経済的制裁に絡めて、中国を揺さぶろうとしているのです。

 現に、中国の崔天凱駐米大使が15日、「中国が北朝鮮を核保有国とみなすことは決してない」と発言しました。

*自民党の石破茂元幹事長が9月7日、米国が核兵器を日本に配備することについて議論するよう提起。北朝鮮の核・ミサイルへの抑止力を強化する方策として「非核三原則」の見直しを促した。米軍事専門家の間でも注目を集めている。
(参考:「自民・石破氏、米核兵器の配備議論を=非核三原則見直し、政府「考えず」、時事通信、9/5/2017)

ホワイトハウスは一体

これまで米国が取り得る選択肢は、軍事行動を除けば、制裁と対話。そして、「第三の道」が取りざたされてきました。「第三の道」とは、米国が有する軍事力、外交力、経済力、発信力などすべてを同時並行的に使ったものです(関連記事:「北朝鮮、対話でも制裁でもない『第三の道』)。

高濱 そうです。日米の常識ある軍事外交専門家のコンセンサスは、「米国は軍事行動を口にするけれども、実際に北朝鮮を先制攻撃することはできない」だと思います。もっと言えば、北朝鮮も韓国も中国、ロシアもそう思っている。その意味ではトランプ大統領は舐められているのです。

 米議会の外交、軍事各委員会の幹部議員たちが9月6日、ジェームズ・マティス国防長官、ティラーソン国務長官、ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長、ダン・コーツ国家情報長官を招いて、対北朝鮮戦略についてブリーフィングを受けました。かん口令が敷かれているので詳しい内容は明らかになっていません。

 しかし、会合の後、議員たちが記者たちに漏らしたコメントを総合すると、「トランプ政権の外交軍事最高責任者たちは極めてプロフェショナルで、『bluster』(北朝鮮に対する恫喝)を行う考えはなかった」「大統領の過激な発言と閣僚たちの冷静な発言とは表裏一体のものだということがわかった」というものでした。

 つまり「サージカル・アタック」(外科手術的攻撃=核・ミサイル関連施設の一部を攻撃)とか、「斬首作戦」(金正恩委員長暗殺)といった「恫喝」をする気はないということです。
("Trump officials brief lawmakers on North Korea," Rebecca Kheel, The Hill, 9/6/2017)

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「トランプ政権はレッドラインを決めた」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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