• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「両論併記」では少子化問題を打ち破れない

森田 朗×出口治明 特別対談(2)

2016年1月22日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

フランスの出生率を回復させた特効薬とは

森田:出口さんは少子化対策について、フランスの「シラク3原則」のことをコラムで紹介されていますよね。すごく興味深い政策だと思ったので、その件について少しご説明いただけますか。

出口 治明(でぐち・はるあき) ライフネット生命保険会長兼CEO(最高経営責任者)/1948年三重県生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年にライフネット生命保険株式会社に社名を変更、生命保険業免許を取得。2013年6月より現職。

出口:それには、なぜフランスが少子化対策に本腰を入れたか、という話に遡る必要があります。フランスの市民は、1980年から90年代にかけて、フランス文化がこのままでは後世に受け継がれないのではないか、という危機感を覚えたのです。アンケートをとると、フランス人の40数%しかフランスワインを飲まなくなっていることがわかった。しかも、1993年にはパリにディズニーランドができて、その他英語で教える大学院もできた。でも、フランスの人々はやっぱり自国の文化を守りたいと考えた。そして、文化を守るとはどういうことかを考えた結果、「フランスで生まれ、母語(マザータング)がフランス語である人を増やそう」という結論に達したのです。

森田:そこからの少子化対策だったと。理由が明快ですね。

出口:そうなんです。単に人口が減ったから増やそう、というのではなく、なぜ増やさなきゃいけないのか、それにはどうすればいいのか、ということを真剣に考えた結果だったのです。そして、「シラク3原則」という政策パッケージが出てきました。

 1つ目の原則は、子どもを持った人に新たな経済的負担を生じさせないこと。僕の理解としては、女性が好きなときに赤ちゃんを産む権利を保証するということです。女性が産みたいときに、出産・育児に必要な経済力が備わっているとは限らないので、その差を税金で埋める、という政策です。

 2つ目の原則は、無料の保育所を完備すること。待機児童ゼロということですね。1つ目の原則とセットで考えると、保育園のコストは、0歳児の場合は高い。1歳以降から低くなる。だから出産から最初の1年は、給与をほぼ100に近いかたちで保障する。するとほとんどの人は休みます。そして2年目からは給与保障を少し下げて、働き始めてもらい、保育所を利用してもらう。すると、保育所運営にかかる社会的コストを抑えることができます。こういう設計もちゃんとしてあるのです。

 そして3つ目は、育児休暇から復帰したときには、ずっと勤務していたものとみなして企業側は受け入れる、というもの。ランクも同じです。

コメント7件コメント/レビュー

「労働者不足」といいながら、現在のような若年層の非正規雇用化・低収入化を放置しているのでは、少子化問題の解決など夢のまた夢でしょう。「黒死病」と呼ばれたペストが流行した結果、ヨーロッパの人口が25%も減少した時代、人手不足のため賃金が上昇し、かえって人々の暮らしが裕福になったそうです。結果的に教育水準も上昇し、後のルネッサンスや産業革命に繋がっていったとか。日本も賃金が上昇に転じる(一般庶民の生活が楽になる)まで、ガマンした方が良いかもしれない。(2016/01/25 12:41)

「人口減少時代のウソ/ホント」のバックナンバー

一覧

「「両論併記」では少子化問題を打ち破れない」の著者

森田 朗

森田 朗(もりた・あきら)

国立社会保障・人口問題研究所所長

行政学者。東京大学大学院法学政治学研究科教授、東京大学公共政策大学院教授、同大学院院長、総長特任補佐、東京大学政策ビジョン研究センター長、学習院大学法学部教授などを歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「労働者不足」といいながら、現在のような若年層の非正規雇用化・低収入化を放置しているのでは、少子化問題の解決など夢のまた夢でしょう。「黒死病」と呼ばれたペストが流行した結果、ヨーロッパの人口が25%も減少した時代、人手不足のため賃金が上昇し、かえって人々の暮らしが裕福になったそうです。結果的に教育水準も上昇し、後のルネッサンスや産業革命に繋がっていったとか。日本も賃金が上昇に転じる(一般庶民の生活が楽になる)まで、ガマンした方が良いかもしれない。(2016/01/25 12:41)

国は100年安心年金制度、なんて言っちゃったもんだから、必死ですね。保険なんか、加入者数が大事だからなぁ。制度を維持するために子どもを産んでほしい、素直にそう言えばいいのに。(2016/01/22 19:17)

「フランスの場合はうまくいきましたが、日本でも適用できるかどうかはわかりません」、といって何もしないのでは改善されるはずがない。シラク3原則は日本でもある程度の効果は期待できると思う。出生率1.6が2.0まで上がる程かどうかは分からないが、間違いなく出生率は上がる。個人的には狭い国土に多くの人間が暮らしているので、人口減少そのものを問題とは思わない。問題は、それに連動して経済発展にブレーキが掛かることだ。安倍首相は成長第一主義の様だが、それに必要な人口政策はシラク3原則と比べたら「何もやっていない」に等しい。公共事業の様に効果がその場限りのバラマキをするよりは、「未来の成長の素」を増やす事にもっと大きな予算を振り分けるべきだろう。彼の政策は「あれもやる、これもやる」で一体何を一番優先で実現したいのかが全然分からない。毛利元就と同じ長州、山口県の出身だから、「三本の矢」に例えた経済政策を打ち出したのだろうが、金融緩和以外は結局何をやりたかったのかすら分からない程多くの事に「少しづつ」ばら撒く事しか出来ていない。目先で微々たる効果を出すために大金を投ずるよりも、当面は効果が期待出来ないが、十年後二十年後に大きく花開く子育て支援に集中するような勇気に欠けている。日本の未来のためよりは、目先の選挙の票をいかに多く取るかばかりが優先されるとどの党が政権を握っても同じ事なのかも知れない。「日本の未来のために、目先の景気は我慢して下さい。」くらいの事を国民に対して言えるような政治家が排出する事を願うのみ!(2016/01/22 13:17)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

面白い取り組みをしている会社と評判になれば、入社希望者が増える。その結果、技能伝承もできるはずだ。

山崎 悦次 山崎金属工業社長