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大学と人材を腐らす「19世紀式」を脱せよ

検証・大学教育改革 with 田中弥生(4)

2015年9月29日(火)

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田中:ヨーロッパでは、ポスドク関係者のベンチャーが増えているそうです。というのも、博士課程に入ると初年次でキャリア教育を徹底的にやるんです。最近、大学の評価がぐんぐん上がっている、小規模な北欧の大学がいくつかあります。そういったところの教育を見ていると、博士の1年目の最初に「この中でプロフェッサーになれるのは3%。残りの97%はなれない。ではなれなかったときに、どういうキャリアを描くのか」ということについて、1週間合宿して議論させるんです。

はじめから現実を教える、と。

田中:その中で、自分でベンチャーを興す、地元の企業と共同研究するなどの道も視野に入れていくわけです。大学院側も、ただ研究成果を出せというわけでなく、その学生が選んだ目標に則して評価指標を設定する。こういったキャリア教育からやっていかないと、ポスドク問題は解決しないでしょうね。

日本はいまだ19世紀の「フンボルト・モデル」

森田:まず、そういう現実を見据えたキャリア教育ができる大学教員がいなさそうです(笑)。アメリカでは、研究能力の水準がある程度に達したと判断されたらドクター(博士号)を出して、それをもった人が企業や行政の管理職になっていく。よっぽど研究面で優秀な人、もしくは研究好きな人が、大学の研究者になります。

田中:それは健全ですよね。大学の評価をやっていると、何人のドクターを出したかが評価指標になっていることがあるんですよ。留学生からも「この日本の大学にいる間に博士号が欲しい」というプレッシャーがあると、けっこう博士号を出す確率は高くなりますよね。

森田:そのように割り切って博士を生産していけばよいのですが、今のように、これまでの体制と発想のまま博士号をどんどん出すと、博士の水準が下がってしまいます。それは、日本の高等教育の信用に関わる話になってきます。今までは、大学院に優秀な学生を入れて、教授が運営する研究室で徒弟制のようにみっちり育てて、優れた論文を書かせていたわけです。

田中:それって、進学率が数%だった時代のモデルですよね。いわゆる、1810年に創設されたフンボルト大学(ベルリン大学)から始まった「フンボルト・モデル」といわれるもの。まあ、これもMOOC(※)が入ってくることによって、壊れるんじゃないかと思っていますが……。

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「大学と人材を腐らす「19世紀式」を脱せよ」の著者

森田 朗

森田 朗(もりた・あきら)

国立社会保障・人口問題研究所所長

行政学者。東京大学大学院法学政治学研究科教授、東京大学公共政策大学院教授、同大学院院長、総長特任補佐、東京大学政策ビジョン研究センター長、学習院大学法学部教授などを歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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