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倒産寸前でやっとつかんだ販路は居酒屋

第16回:DG TAKANO 高野雅彰社長(中)

2016年4月13日(水)

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 東大阪市にある金属加工ベンチャー、DG TAKANOの高野雅彰社長は、独学でNC(数値制御)加工機のプログラミング技術などを学び、節水ノズル「Bubble90」を開発した。お披露目の場となったドイツの展示会で世界中の企業から注目を集めるなど、技術は評価されたものの、日本では営業をかけても当初はさっぱり売れなかった。厳しい状況で、販路をどうやって切り開いたのかを高野社長に聞いた。(聞き手は、トーマツ ベンチャーサポートの斎藤祐馬事業統括本部長、前回の記事はこちらをご覧ください)

斎藤:節水ノズルは、どこで、どのように発表されたのですか。

高野:「2009年3月にドイツのベルリンで世界最大級の水ビジネスに関する展示会があるから、それに出展してみないか」と、ある人から紹介を受けたんです。その話を聞いた2008年末の時点ではBubble90はまだ完成していなかったのですが、3月までなら間に合うだろうと高をくくっていたんです。ところが、なかなか完成まで至らなくて・・・・・・。結局完成したのはドイツ行きの飛行機に乗る当日の早朝、出発の3時間前くらい。それで、最初に作った7個を握りしめて飛行機に飛び乗りました。

 でもパンフレットもないし、ポスターもないし、資料も何もない。ただ、ベルリンまでの飛行は13時間ありましたので、機内でパソコンを使ってパンフレットのデザインをゼロから作りました。現地に着いたらすぐ、キンコーズみたいな印刷ができる店に飛び込んでプリントアウトして、なんとか展示会に間に合った。

DG TAKANOの高野雅彰社長(写真:菊池一郎、以下同)

斎藤:タフですねえ。ドイツでの反響はどうだったのですか。

高野:すごい反響がありました。日本製というだけで話を聞いてくれるし、欧州をはじめ、中東、アフリカの企業からも取り引きしたいと声が掛かった。水道の水圧が高いエリアでも低いエリアでも、硬水でも軟水でも、水質の悪い場所でも世界中どこでも使える製品を作ったので、これは大きな潜在ニーズがあるぞと実感しました。

 日本に帰って、今度は、「"超"モノづくり部品大賞」に出品しました。応募する企業の規模は問いませんが、その性能が世界最高水準で、かつ、大学や公的研究機関の客観的なデータや専門家の推薦状がないと応募できないという、すごくハードルが高い賞だったんです。うちの場合は、ある企業がうちの製品を比較調査してくださり、東京大学の先生が推薦状を書いてくださって応募することができた。

 敢闘賞ぐらい取れたらいいなと思って応募したんですけど、大賞になっちゃった。同じ年(09年)に入賞したのはTDKさんにテルモさん、ソニーさん・・・・・・。

技術だけでは売れない

斎藤:おおーっ。そうそうたる顔ぶれの中での大賞ですね。

高野:設立1年目の無名のベンチャーがいきなり1番になったと、新聞の1面で取り上げてもらった。ちなみに前年の大賞は日立グループの会社で、翌年は東芝でした。

 「よし、これでうちも軌道に乗れる」と思ったんですけど、これは製造業関係者にしか知られていない賞で、一般の消費者にはほとんど知られていない。グッドデザイン賞の方がはるかに有名なわけです。だから、賞を取ったら、いきなり営業がうまくいくなんて、甘い話はありませんでした。製品を作る苦しみは1年で済みましたが、売ることはその何倍も難しくて、販路開拓には結局4年を費やしました。

斎藤:それだけの技術や節水効果があっても、売れなかったのはなぜなんでしょうか。

高野:東大阪の無名のベンチャーが営業に来るわけです。節水関連の製品というだけでも怪しまれるのに、「水を約9割節約できます」とか言うと、もっとうさんくさく思われて話さえ聞いてもらえない。

 うちが直接営業しても売れないので、商社に販売をお願いしようと考えたこともありますが、彼らはすぐに独占販売権が欲しいと言い始める。それで、こちらが独占販売権が欲しいなら、最低限の購入数を契約で保証してほしいというと「それはできない」という。

 彼らにとっては商材の1つに過ぎないので、営業先にカタログを置いてくるだけなんですね。負債は1億円ほどになり、もう倒産寸前までいきました。

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「倒産寸前でやっとつかんだ販路は居酒屋」の著者

斎藤 祐馬

斎藤 祐馬(さいとう・ゆうま)

トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長

1983年愛媛県生まれ。慶應義塾大学を卒業後、2006年にトーマツに入社。、2010年にトーマツ ベンチャーサポートを事実上立ち上げた。公認会計士でもある。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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