• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

加速する時間軸の中で、カンブリアの海に泳げ

2016年1月1日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 あけましておめでとうございます。

 昨日と今日とを隔てるものは、地球が1回自転したというただそれだけのことに過ぎません。その1区切りを8万6400分割したものを「秒」として、気候が移ろい、岩が砕け、草木が萌えて枯れていき、生き物たちが老いて死んでいくこの無数のこころが捉える変遷を、私たちは「時間」と呼んでいます。

 時間は、あらゆる生命に等しく流れています。私にとっても、例えば地を這うカタツムリにとっても、「1日」は、地球の自転1回分に違いありません。

 しかし同時に、すべての生命にとって時間の速度は異なる、とも言えます。カタツムリの寿命は一般に3年程度と言われているそうですので、カタツムリの1日は、彼らの一生の1000分の1程度の時間ということになります。人間の寿命を80年とするなら、私たちは2万9200日を生きることができる計算になります。その1000分の1となると、カタツムリの1日は、人間にとってのおよそ30日、つまり一ヶ月程度の重みを持っていると言えそうです。

 私が無為に過ごした1日がカタツムリにとって一ヶ月にも相当すると聞くと、どうも情けないような申し訳ないような気分になりますが、それはさておき。分かりやすい例としてカタツムリと人間とで比較しましたが、同じ人間同士でも、時間の速度やその重みは異なるように思います。例えばアジアから欧州に向かうのに数ヵ月を要した時代と、パソコンに向かってキーボードを叩けばロンドンの友人と会話することができ、その気になれば数時間で飛んで行くこともできる時代とでは、人間がその一生でなし得る仕事の量や質は大きく変わっていると思われます。

 例えば「1秒当たり生産価値」「時間ROA」のようなものを試算することが可能であれば、人類史の中で、その指標が上がり続けていることが確認できるはずです。

 今日は2016年1月1日。2015年の元旦から8万6400秒が365回過ぎました。地球は太陽の周囲を一周し、また3153万6000秒前と(太陽との相対的な位置としては)ほぼ同じ場所に戻ってきました。「年が明ける」ということには、自然科学の立場から言えばそれ以上の意味はありません。

 しかし、先人たちは、時間の流れなどという捉えがたいものを把握し、また共有するために、天体の運動を元にそれを刻んで「時刻」というものを生み出しました。その発明によって、私たちは、生命として与えられている時間が限られており、だからこそその一生がかけがえのないものであることを知ることができました。等しく流れる与えられた時間の中で、より幸せにありたいと願う人々の営為、家族や友人や自分の夢のために「時間ROA」を少しでも高めたいと努力する人々の営為が、「経済」というものを形作り、また成長させて来ました。

 今日という日は、地球の公転周期を365分割して日付を振った結果、たまたまこの日が始まりと終わりを隔てたに過ぎない日ですが、同時に、人間社会の根底を支える時間認識で捉えれば「節目」となる日でもあります。天体の運動から見ればばかばかしいくらい健気な「願い」を抱えながら、向こう1年の幸多からんことを祈る日でもあります。

 こんな日だからこそ、次ページから、鬼が笑うとの謗りを恐れずに、2016年以降の経済、社会を、「時間軸」という問題意識を根底に据えつつ、「インダストリー4.0」「フィンテック」「IoT」「オープン・イノベーション」「スタートアップ」「TPP」など2015年のバズワード、キーワードを拾いながら考えてみたいと思います。

 読者の皆様の、この一年のご多幸を心よりお祈りします。

コメント1

「Editor's EYE」のバックナンバー

一覧

「加速する時間軸の中で、カンブリアの海に泳げ」の著者

池田 信太朗

池田 信太朗(いけだ・しんたろう)

日経ビジネスオンライン編集長

2000年に日経BP入社。2006年から『日経ビジネス』記者として、主に流通業界の取材に当たる。2012年『日経ビジネスDigital』のサービスを立ち上げて初代編集長、2012年9月から香港支局特派員、2015年1月から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人々が働きたいという会社になるには 「働きやすさ」と「働きがい」、この2つが必要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長