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日銀の「戻れぬ賭け」、そろそろ精算を

2018年、異次元緩和のリスクに世界の注目が集まる可能性

  • 小宮 一慶

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2017年8月24日(木)

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 2013年4月、日銀の黒田東彦総裁は、およそ15年にわたるデフレから脱却するために「異次元緩和」を発表しました。「135兆円のマネタリーベースを2年間で倍にする」。日銀が直接コントロールできるお金の量であるマネタリーベース(後で説明)を倍増するという前代未聞の政策は、世界中に大きなインパクトを与え、その直後に急速な円安株高が進みました。

 ところが、その効果も一時的でした。あれから約4年半が経とうとしていますが、目標だった2%の物価上昇の達成にはほど遠い状況です。2年で終わるはずの異次元緩和はさらに規模を拡大し、ついに今年6月末には、日銀の総資産が500兆円を超えたと報じられました。

 異次元緩和は、日本経済にどれだけの効果をもたらしたのでしょうか。私は、そろそろ日銀はこれまでの金融政策を検証し、出口を探るべきだと思います。今回は、景気指標から異次元緩和の効果を分析した上で、これから起こりうる問題やリスクを考えます。

(写真=ロイター/アフロ)

日銀のリスク(不確実性)は拡大し続けている

 はじめに、これまでの経緯を振り返ってみましょう。2012年12月の総選挙で、自民党が当時政権を握っていた民主党に圧勝し、安倍政権が発足しました。その翌年3月に黒田東彦氏が日銀総裁に就任。4月4日の金融政策決定会合で、「異次元の金融緩和」がスタートしました。

 異次元緩和とは、具体的にどんなことをするのでしょうか。最も大きな政策は、日銀券と日銀当座預金(金融機関が日銀に持つ当座預金)の合計である「マネタリーベース」を、2年後の2015年3月までに2倍に増やすというものでした。

 当時の日銀券残高は約85兆円、日銀当座預金残高は約50兆円、合計135兆円を、270兆円まで膨らませるということです。経済規模に比べてそのような大規模な量的緩和をやった国は、どこにもありません。中央銀行が負うリスクが、あまりにも大きいからです。

 発表翌日である4月5日付けの日経新聞朝刊1面に、「黒田日銀、デフレ脱却へ戻れぬ賭け」という記事が大きく出ていたのをよく覚えています。まさに日銀は、「賭け」とも言える後戻りできない政策を打ち出したのです。

 ところが、それだけ大規模な金融緩和を行っても、目標である「物価2%」の達成は見通せませんでした。そこで日銀は、2014年10月末に、国債などの買い入れ資産を年80兆円まで拡大する2度目の異次元緩和を発表。さらには、16年2月に、日銀当座預金の一部にマイナス金利を付与する「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入しました。

マネタリーベース(平均残高 前年比%)
2013年度 44.0
2014年度 39.3
2015年度 32.1
2016年2月 29.0
3月 28.5
4月 26.8
5月 25.5
6月 25.4
7月 24.7
8月 24.2
9月 22.7
10月 22.1
11月 21.5
12月 23.1
2017年1月 22.6
2月 21.4
3月 20.3
4月 19.8
5月 19.4
6月 17.0
7月 15.6
出所:日銀

 マネタリーベースの推移を見ますと、異次元緩和がスタートした13年度以降、大幅に増え続けていることが分かります。徐々に伸び率は縮小しつつありますが、それは分母が大きくなっているからで、17年に入ってからでも前年比20%前後の水準を維持しています。マネタリーベースの絶対額はどんどん増えているのです。スタート時は135兆円だったのが、現在は400兆円をゆうに超えています。主に市中に出回る国債などを買い取り、その代わりお金を日銀当座預金に振り込むことでマネタリーベースが「膨張」しているからです。

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