EV化による国内自動車関連メーカーの明暗

厳しい時代迎える部品会社も

  • 小宮 一慶
  • 2017年09月21日

 世界各国で電気自動車(EV)シフトが進んでいます。英、仏政府は、ガソリン車とディーゼル車の販売を2040年以降に禁止すると発表。世界最大の自動車市場である中国でも政府が将来的には製造・販売を制限する方針です。スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーも、2019年以降に発売する車種はすべてEVやハイブリッド車などの電動車にすると発表しています。

 自動車大国ドイツは、今のところEVへの転換について明確な方針を出していませんが、24日に行われる独連邦議会総選挙では、ガソリン車やディーゼル車の販売禁止とEV化の促進が政策に含まれるかが争点となっています。

 現状、年間1億台近い全世界での自動車生産のうち、EVはまだわずかです。途上国などでは当分は従来のガソリン・ディーゼルエンジンが主流であり続けると言われています。また、グローバルレベルでの二酸化炭素排出削減という観点からは、EVも化石燃料を使っての発電による電気を使うという問題もあります。それでも、日本の自動車業界では、近い将来にはEV化の波は避けて通れません。

 今回は、EV化が日本の自動車関連メーカーにどのような影響を与えるのか。自動車部品を扱うパナソニックと日本電産の業績を分析しながら考えます。

世界で電気自動車の推進政策がとられている(写真:Science Photo Library/amanaimages)

EV化、先頭を走る欧州と一歩遅れる日米

 世界で進むEV化の波に、自動車大国の米国も無縁ではいられません。しかし、米国政府としては強力なEV転換の方針を打ち出すことは当分ないでしょう。

 シェールオイルを産出する米国は、エネルギー産業が主力の一つですから、ガソリンを使わない電気自動車を普及させれば、自国の産業にダメージを与えてしまいかねません。EV化は進めていくでしょうが、欧州よりはトーンが低いと思われます。

 中国は、PM2.5などの大気汚染の問題が深刻化しているとともに、エンジンの技術で日米欧から一歩遅れをとっていましたから、EV化を奨励する十分な動機があります。

 高度な技術を要するエンジンのないEVは、極端なことを言えば、モーターと電池さえあれば走ります。そこでいち早くEV技術を向上させ、ある程度の優位性を持つことができれば、中国の自動車産業が数量だけでなく、技術的にも日米欧を逆転するチャンスになります。

 うまくいけば、2800万台といわれる中国市場のみならず、東南アジア諸国、EV化が進む欧州の市場でも売り上げを伸ばす可能性もあります。

 もう一つ、EVと切り離せないのが自動運転車の動向です。EVと自動運転車は、同じ電気系統で動かしますから、極めて親和性が高いのです。EV化とともに電気自動車化も加速していくことは間違いありません。

 現に、多くの自動車メーカーが、自動運転車の実用化に向けて動き出しています。例えば、トヨタ自動車は2020年をめどに高速道路での自動運転車を発売すると表明しています。

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