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土俵上の救命行為、医者はどう見た?

第29回 女性たちが「飛び出した」勇気に敬意を

2018年4月24日(火)

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 こんにちは、総合南東北病院(福島県郡山市)外科の中山祐次郎です。

 まずは近況から。私は3月で郡山を離れ、4月から京都大学大学院医学研究科に出向という形で来ております。

雨の中の入学式でした。歴代26人の総長の写真を全て見たら、そのうち14人がひげを生やしていました。人間、偉くなると生やしたくなるもんなんですかねえ

 私が学ぶ内容は主に「公衆衛生学」と「臨床研究法」の2つです。37歳、医者12年目の私がなぜ大学院に来たか。

 一番の理由は、公衆衛生という学問を学びたかったからです。公衆衛生はあまり日経ビジネスオンライン読者の皆様には馴染みがないことと思います。簡単に言えば、臨床の医者が「1対1」で医療を提供するのに対し、「1対多数」の医療を考える学問になります。具体的には統計学や、医療技術をどう経済評価するか、環境衛生(水や大気汚染など)、医療制度や政策など幅広い分野の講義があります。

 それに加えて、私は「臨床研究法」というものを学びます。臨床研究という言葉もあまり聞きなれないですよね。医者がやる研究と言えば、普通は試験管を振ったりいろんな機器を使って実験をしたりするイメージかもしれません。こちらは「基礎研究」です。私がやる研究は、臨床、つまり病院にかかる患者さんの研究です。例えば、「肺炎の患者さんに対してこの薬は何日間使うべきか?」や、「通院が必要な患者さんが外来に来なくなってしまう理由は何か?」といったような、非常に現場で使える結果の出る研究なのです。私はこれが学びたくて、京都に来たのでした。

式は京大の歌を歌い、山極壽一総長のお話を拝聴して終わりというあっさりしたものでした。こんな歌があるのですねえ。もちろん入学生は誰も知らず、歌っていませんでしたが
芝蘭会館の桜。医学部創立100周年で建てられたそうで、稲盛和夫さんに京都大学が寄付をお願いしたそう。私が卒業した鹿児島大学にも稲盛会館という、同じく寄付していただいた会館がありました。稲盛さんは鹿児島大学卒業でした。不思議なご縁ですね

めくるめくハイレベル講義に感嘆

 大学院に来て初めにガイダンスされたのは、「1年生全員でゴミ捨て当番を分担しましょう」でした。衝撃を受けましたが、そういえば私は学生だった、医者じゃないんだった、と身に染み込ませるいい経験でもありました。それから始まった講義の数々。私はこの3月まで外科医として働いておりましたから、病院内を歩き回ったり手術室で汗をかいたりという生活でした。詳しくはこの過去記事をご参照ください。

 それが、4月から大きく変わりました。これまで仕事を始めていた朝7時半は、今ではゆっくりメールや原稿を書く時間に。そして家から徒歩2分の講義棟では、めくるめくハイレベル講義。世界で活躍する教授の講義は、とても面白いものです。この歳になってじっくり学ぶのは、とても刺激的です。

ちらりと医学部ではなく本学の方に行ってみたのですが、サークル勧誘をしていました。うーん、懐かしい。しかし京都大学の学生さんはみな真面目そうです。当然のように、私は全く勧誘されませんでした

 さて、近況はこのくらいにして、今回は話題になったあの事件を扱います。

救命女性に土俵下りる指示 大相撲巡業、市長倒れる」(2018年4月5日付の日本経済新聞電子版より)

 簡単に言えば、土俵上で挨拶中、急に倒れた市長を救うために女性医師がかけつけて救命措置を行っていたところ、「女性は土俵から下りてください」とアナウンスがあったというニュースです。

コメント11件コメント/レビュー

相撲協会でも救命講習は時々しているようです(Web検索で、2月6日のサンスポの記事に追手川部屋での様子が載っていました)。また、(力士は運転出来ませんが)運転免許を取る際に応急救護の実技講習が必須になっていますので、土俵上を含めた会場内のかなりの人が講習を受けた経験があることになります。ただその場で動いた人が一部だったことは残念ですし、受けたのに邪魔する者がいたことはもっと残念です。(2018/04/25 19:15)

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「土俵上の救命行為、医者はどう見た?」の著者

中山 祐次郎

中山 祐次郎(なかやま・ゆうじろう)

外科医

1980年生まれ。聖光学院高等学校を卒業後、2浪を経て、鹿児島大学医学部医学科を卒業。その後、都立駒込病院外科初期・後期研修医を修了。2017年2~3月は福島県広野町の高野病院院長、現在は郡山市の総合南東北病院で外科医長として勤務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

相撲協会でも救命講習は時々しているようです(Web検索で、2月6日のサンスポの記事に追手川部屋での様子が載っていました)。また、(力士は運転出来ませんが)運転免許を取る際に応急救護の実技講習が必須になっていますので、土俵上を含めた会場内のかなりの人が講習を受けた経験があることになります。ただその場で動いた人が一部だったことは残念ですし、受けたのに邪魔する者がいたことはもっと残念です。(2018/04/25 19:15)

この事件に関して、テレビのワイドショーは女性が土俵に上がったことの賛否と、相撲協会の対応とその後の『女性は土俵に上げない』発表への批判ばかり。土俵へ上がって一番に救命・心臓マッサージを行った女性、それに続いて土俵に上がった女性をしっかりと誉めてられている記事、救命・心臓マッサージの重要性につてしっかり書かれている記事を初めて見ました。土俵に上がられた女性方は、医師か看護師さんだと私も映像を見てスグ思いました。私は普通救急講習を受けましたが心臓マッサージも人工呼吸も大変難しいです(幸い?にもまた緊急の場面に遭遇しておりません)。講習会は、自治体や消防署で定期的にやられていますので(京都市は月2・3か所)、それと無料か有料かも、お確かめください。(2018/04/24 23:19)

報道ではアナウンスに関心が集中していたが、飛び出して行った女性達の勇気をたたえるものは少なかったと思う。躊躇せずわが身を顧みず人を救う行動ができる。本当のプロだと思います。(2018/04/24 14:42)

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