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“泥船”シムズ理論に乗る安倍政権

改憲へ“渡りに船”だが、財政インフレ政策はリスク大

2017年3月7日(火)

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 2%インフレを目指した日本銀行の異次元緩和の効き目が薄れたことで、安倍政権は今、財政をふかしてインフレを起こす「財政インフレ」に傾斜し始めている。

 財政の状況が悪いときにそんなことをしたら、さらに財政再建が遠のくと思うのが常識。しかし米国の経済学者の間には「上手なやり方で財政を活用すればデフレ脱却にも財政再建にも役立つ」とする理論があり、安倍政権はこれに乗ろうとしているのだ。

 この理論を実行に移した国はまだない。いわば危険に満ちた「賭け」に政権が打って出る裏には、戦慄すべき計算が働いているようだ。

 くだんの理論はノーベル賞経済学者のクリストファー・シムズ米プリンストン大学教授らが、1990年代の半ばから唱えている「物価水準の財政理論」。金利がゼロ近辺となりデフレ脱却へ金融政策の効果がなくなったとき、物価水準を決めるのは財政政策だ、という考え方から、歳出の拡大や減税などを実施すべきだと主張する。

「インフレになれば自然に財政再建」

 一見、ケインズ政策に似ているが、この理論の特徴は将来の増税や歳出削減を封印して、人々にインフレの到来を確信させ、消費や設備投資を促すところだ。それによって実際にインフレになれば、税収が増えて、国の借金(国債発行残高)が目減りするので、財政を立て直しやすくなる、と説く。

 有権者に不人気な緊縮財政ではなく、インフレによって自然に財政を健全にするという、政治家にとってはまことに都合のよい理論である。

 シムズ教授は昨年夏に米国内の講演で自説を改めて披露。安倍首相への経済政策の指南役である浜田宏一内閣官房参与(米エール大学名誉教授)はそれを聞いて「目からウロコが落ちた」と持ち上げた。今年2月にはシムズ教授が来日して講演。また政権内では世耕弘成経産相が経済財政諮問会議でシムズ理論を引き合いに出し、政府による技術革新促進のための投資拡大を訴えた。

 こうした動きからエコノミストの間では「シムズ理論が安倍政権の今後の財政運営のバックボーンになる」という見方が広がっている。 

 特に今の安倍政権にはシムズ理論に頼らざるを得ない事情がある。

コメント17件コメント/レビュー

異次元緩和のアベノミクスで上がったのは株価だけで庶民はキュウキュウ。さらに「無制限やり放題金融政策」とはまさに亡国の宰相ですカチカチ山ですね。リフレの次は、、、まさに亡国の宰相です。現実に起きているのは、庶民の生活物資の値上がりと、庶民つまり中低所得者層の収入頭打ち、つまり悪いインフレ、スタグフレーションではありませんか。はい、アベノミクスでバブルみたいにウハウハになった人、手を上げて!!(2017/03/07 17:40)

「けいざい内視鏡」のバックナンバー

  • けいざい内視鏡

    2017年3月7日

    “泥船”シムズ理論に乗る安倍政権

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「“泥船”シムズ理論に乗る安倍政権」の著者

平田 育夫

平田 育夫(ひらた・いくお)

経済ジャーナリスト

早稲田大学政経学部経済学科卒、1974年、日本経済新聞社に入り、ワシントン支局、「日経ビジネス」編集長、経済部長、論説委員長などを経て現在、日経新聞客員コラムニスト。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

異次元緩和のアベノミクスで上がったのは株価だけで庶民はキュウキュウ。さらに「無制限やり放題金融政策」とはまさに亡国の宰相ですカチカチ山ですね。リフレの次は、、、まさに亡国の宰相です。現実に起きているのは、庶民の生活物資の値上がりと、庶民つまり中低所得者層の収入頭打ち、つまり悪いインフレ、スタグフレーションではありませんか。はい、アベノミクスでバブルみたいにウハウハになった人、手を上げて!!(2017/03/07 17:40)

デフレが続いている状況で、緊縮財政を行うことがそもそもの誤り。
安倍政権が最初に謳っていた「国土強靭化計画」を本気でやるべきと思います。
新幹線の整備計画を推し進めて地方創生しましょう。(2017/03/07 17:39)

この記事では、金融システム不安、日銀や国債の信認低下を財政・経済の破綻と言っているが、認識誤りである。財政破綻とは、そんな漠たるものではなく、政府が資金繰りに詰まる現象を指す。
日本では、債務比率がどうであろうと、政府は国内資本市場から資金調達ができ、いざとなれば、日銀券を際限なく引き出すことができる。このため、財政破綻など杞憂に過ぎない。財務省の乗せられ、PB回復に拘ることも愚かである。
シムズ理論への乗り換えは、貨幣の超過供給で財の超過需要が創り出されるとして実施された異次元金融緩和の賞味期限が切れたためであろう。しかし、シムズ理論を煎じ詰めると国債発行によるインフレ又は増税の選択問題とも言え、どちらも気乗りしない解である。ただ、消費税引き上げによる増税は、結局のところ物価上昇分を政府が税として徴収するだけの話である。国債発行によるインフレとは、直接のインフレ利得を政府が得るかどうかの違いでしかない。
真の解は、実質的な経済成長以外にあろうはずがない。技術革新が決め手となるが、単なる金融緩和や財政拡張で実現できるものではない。アベノミクスによるアプローチは一時的効果しか生んでいない。(2017/03/07 17:32)

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