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上限は1万9000円?日経平均縛る「4%」

投資の「ケタ間違い」にご用心

2016年4月14日(木)

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 前回は投資家が認識すべき点として、「株式市場は投資家が考えているよりも総じて大きく動くもので、指数で年間20~30%程度、個別銘柄では30~40%の変動がある」ことを、データに基づいてお話しました。

 その変動は、後々まで影響を与えるような経済状況の変化…よりも、「市場参加者のごく一部の過剰反応」がきっかけになることが多い。トヨタ自動車を例に挙げましたが、実際に株式の売買まで至る人は株主全体の内ごく少数なので、一部の過剰反応でも株価は大きく動きます。それが別の投資家による意思決定の連鎖を引き起こし、結果として予想を超える株価の上げ過ぎ・下げ過ぎにつながるのです。その上げ過ぎ・下げ過ぎを感知して投資の意思決定を下す。これが、常にポジションを持たなくてもよいという強みを生かす「個人投資家の生きる道」、という私の考え方もご紹介しました。

 簡単に言うと、株価が動いたときに「自分の知らないところで何かが起きているのではないか?」とパニックになる必要はなく、まずは何が本当に起きているのかを調べて判断しましょうということですが、これを可能にするには、自分の中で確固とした判断基準を定める必要があります。株価を見て「パニックが行き過ぎているかどうか」を決める物差しですね。

それを買う「決め手」はなんですか?

 今回は、その判断の物差しを選ぶ方法のひとつをお話ししようと思います。そのキーワードが「ケタ」なんです。

 「4321」という数字があったとしましょう。

 ここで「1321」という数字と「4000」という数字と、どちらが「4321」に近いでしょうか。もちろん後者です。千の位が同じだからです。百の位、十の位、一の位まで同じならば素晴らしいのですが、まず一番考えなければいけないのは千の位の数字ですよね。

 日々さまざまな情報に左右され相場は動いています。相場を見る際には、その情報の当否よりも「今見ている、考えている情報は、いったいどのケタのものなのか」を、まず考えて頂きたいのです。ここに気付かずにいると、本当は重要ではないことなのに、「ニュースに流れているからそうなのかな」と思いこみ、投資の意思決定をしてしまう、ということになりかねません。

 ここでは原油を例に挙げて説明しましょう。例えば、「イランの輸出開始で、原油は供給過多になる」とか、「シェールオイルは新しい生産方式が導入されてコストが低下し、価格競争に耐えやすくなった」など、どこかで読んだり聞いたりしたことはありませんか。そこから「石油の供給過剰はどんどん進み、価格が下げ止まらない」という結論に至る。今は流石に静まりましたが、2月頃はこの手の話がまことしやかに語られていました。

 これは、私に言わせれば典型的な「ケタ間違い」です。最初の数字で言えば、十のケタの話を千の位の話と受け止めてしまっているのです。

 では千の位は何かというと、分かりやすい言葉で言えば「決め手」なんだろうと思います。たとえば、あなたが車(洋服でもかまいません)を選ぶ際には、何か決め手がありますよね。価格、デザイン、使用目的、ブランドなどなど。中には、「空力性能が大切なんだ」とおっしゃる方もいるかもしれない。

 それはそれでよいのですが、どれも、おそらく自動車マーケット全体の選好度合いを考える際には、あまり影響がないと思うのです。金融市場でも、みんながこだわるであろうと思われる「決め手」にポイントを絞り、その部分を一番重要なものとして据えること。それが自分の投資スタイル、すなわち「自分がどんな投資家になろうとしているのか」を決める第一歩にもなります。 

イランの輸出開始に「大した意味は無い」ワケ

 もう一度、原油の例で説明しましょう。

 コモディティ市場の決め手は何かといえば、多くの場合「需給」と「掘削コスト」です。掘削会社の資金繰りとか、政治状況とか、地政学的リスクとか、在庫とか、いくつも考えるポイントはありますが、それは下のケタの話。私はこの問題を考えるときに、まずそうやって頭を整理します。

 コモディティは商品差異が小さいものなので、需要と供給のバランスが大切です。また、商品価格が掘削コストを下回れば、業界として成り立つのは難しくなります。

 なぜ私が、先ほどのイランでの輸出開始を「千のケタに値するものではない」と考えているのか。それは、これが全体の需給の話「ではない」からです。

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「上限は1万9000円?日経平均縛る「4%」」の著者

居林 通

居林 通(いばやし・とおる)

UBSエグゼクティブ ディレクター

2006年9月、UBSウェルス・マネジメント部門のアナリストとしてUBS証券に入社。富裕層顧客に向けて、日本の株式、経済動向を分析し、国内・海外に発信している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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