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驚くほど鋭く、洞察のようなメタファー

遷ろう「謎かけ」(1)

2017年4月18日(火)

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 この連載は、村上春樹さんの『騎士団長殺し』に刺激を受けた筆者が、まじめにイノベーションについて語ろうという企画である。村上春樹さんの意図はともかくとして、この小説には創造的な経営やイノベーションにとって大切なことがたくさん書かれている。『騎士団長殺し』に出てくるキーワードや暗示が、筆者がつい最近出版した『模倣の経営学 実践プログラム版』と似ているのである。今回は連載3回目。

(連載 第1回 第2回 から読む)

村上春樹さんの『騎士団長殺し』、第2部のタイトルは「遷ろうメタファー編」。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 前回までは、『騎士団長殺し』の第1部「顕れるイデア編」に対応するような形で、「顕れる本質」と銘打ち、「ものごとの原型」や「本質」について解説した。今回からは、第2部「遷ろうメタファー編」に対応して「創造のための隠喩」や「なぞかけ」について考えてみたい。小説の筋書きのネタバレにならないように、イノベーションの謎かけについて語ることにしよう。

メタファー

 まず、『騎士団長殺し』における、メタファーの登場の場面を引用する(第2部、335ページ)。

「お前はいったい何ものなのだ? やはりイデアの一種なのか?」

「いいえ、わたしどもはイデアなどではありません。ただのメタファーであります」

「メタファー?」

「そうです。ただのつつましい暗喩であります。ものとものとをつなげるだけのものであります。」

 メタファー(Metaphor)とは、比喩の一種だが、「~のようだ」と明示的な喩え方をしない隠喩(いんゆ)のことである。

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「イノベーション殺し[村上春樹を経営学者が読む]」のバックナンバー

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「驚くほど鋭く、洞察のようなメタファー」の著者

井上 達彦

井上 達彦(いのうえ・たつひこ)

早稲田大学商学学術院教授

広島大学社会人大学院マネジメント専攻助教授、早稲田大学商学部助教授などを経て、2008年から早稲田大学商学学術院教授。2012年4月から2014年3月まで米ペンシルベニア大学ウォートン経営大学院のシニアフェローを兼務する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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