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安全保障、独自技術がないと世界で足元見られる

防衛ジャーナリストの桜林氏、装備庁制度に理解

2017年3月31日(金)

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防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」に関する議論が学会を中心に活発化する中、 防衛産業や自衛隊の実情に詳しいジャーナリストの桜林美佐氏は「イデオロギーに基づく反対論が多い印象」と指摘する。
防衛ジャーナリストの桜林美佐氏(写真:大槻純一、以下同)
日大芸術学部卒。フリーアナウンサーなどを経て、防衛ジャーナリストに。「自衛隊と防衛産業」「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」「誰も語らなかった防衛産業」などの著作がある。

デュアルユース技術をどのようにとらえていますか。

桜林:辞書的には、確かに軍事にも民生にも両方使えるという意味だと思います。ただ、それだけではちょっと説明しきれない部分があります。

 防衛装備品は極めて厳しい要求であるミリタリースペックを満たすものでなければいけません。デュアルユースと一口にいっても、民生品に使っているものを、そのまま簡単に防衛装備品に転用できるわけではありません。技術の根っこは同じでも、防衛装備品に仕立てていくには、実はものすごい壁がある。そして、最終的に防衛装備品に具現化するのは防衛産業や防衛省の技術者ですね。

 ですから、両方の用途に容易に使えるということを前提にしてしまうと、ちょっと違和感を覚えます。

 そのうえで、大きな理解としては、デュアルユース技術は使いようだと思いますね。現在は、民生品で使われている技術を、軍事のレベルに上げていく「スピンオン」の方向が増えています。従来は、軍事のために開発されたものを民生品に生かす「スピンオフ」が主流でした。様々な技術がスピンオフとスピンオンを繰り返し、積み上げてきたものが混在しているのが現在の状況です。デュアルユースと一言でくくるよりも、スピンオフ、スピンオンと丁寧に言い分けるのが正しいと感じています。

デュアルユース技術は米国が熱心に取り組んでいるイメージがあります。

桜林:軍事関連の技術開発を国全体で強化する。それをスピンオフにつなげ、自国の民間産業にその恩恵をもたらす取り組みを、国防高等研究計画局(DARPA)という組織が象徴的に進めています。

 国全体の科学技術の力、つまり国力を上げていくためには、最高峰・究極の水準にある軍事の技術力を高めて、それを国全体に波及させるという発想だと思います。

イデオロギーに基づいた印象の反対論

日本では防衛装備庁が進める安全保障技術研究推進制度に対して学会がネガティブな反応をしています。

桜林:確かに日本学術会議では反対意見に勢いがあります。「軍事研究を戦時中にやっていたトラウマだ」との理由がつけられていますが、私はそれよりも、政治的というか、イデオロギーの問題であるとの印象を受けています。

 現在はスピンオンとスピンオフが世の中に混在している状況です。スマホをはじめ、民生品全般がIT化されている。これはもうすべて軍事にも転用可能です。この現実を学術会議の人たちが知らないはずはありません。

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「安全保障、独自技術がないと世界で足元見られる」の著者

寺井 伸太郎

寺井 伸太郎(てらい・しんたろう)

日経ビジネス記者

2002年、慶応義塾大学を卒業し、日本経済新聞社に入社。東京や名古屋での企業担当などを経て、直近は決算を取材する証券部。15年から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長