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人生はループ~研究者・技術者・経営者として

2016年4月26日(火)

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ソニーに技術者として入社し、その後、経営者として同社を率いた中鉢良治氏。大学院では博士号も取得し、研究者を志した時もあった。現在は、産業技術総合研究所理事長として、研究者と日々を共にし、国立研究機関の指揮を執る。その中鉢氏が、多様な経験を通して培ってきた日本の産業や社会に対する見方、一人の職業人としての人生への想いなどを様々な切り口で描き、日経ビジネスオンラインの読者にお届けする。

(編集部)

 私の社会人としてのスタートは、ソニーに入社した1977年4月に始まる。東北大学工学部の博士課程を修了し、研究室の恩師に紹介されての入社だった。今の時代でも、博士課程を修了してから民間企業へ入社する人間はごく少数だが、当時としてはもっと珍しく、同期入社では、私のほかにもう1人がいるだけだった。

 そのころ、ソニーには中央研究所があり、本社にも開発部門があった。博士なのだから、自分はこのどちらかに勤務するのだろうと思っていたのだが、仙台からほど近い多賀城市にあるソニー仙台に勤務との辞令が下りた。実は、私は大学院時代に結婚して、一人っ子だった妻の実家に居候をしていた。後で分かったのだが、恩師がそのことを気遣い、転勤しなくて済むよう、ソニーに働きかけをしてくださったのだった。そのことを知らない当の本人は、正直、仙台勤務に失望した。力をふるうなら東京でという思いが強かったことに加えて、この機会に、『サザエさん』でいう「マスオさん状態」から逃れたいという気持ちもあったからである。

入社8年目で“初勝利”

 入社して命じられたのは、メタルテープの開発だった。ソニー仙台には、磁気製品と電子部品の開発部門があった。私の大学院時代の専攻は資源工学で、人工鉱物としてのセラミック材料を研究していた。私はその専攻分野に近い電子部品の開発業務に就くことを期待していたのだが、これもあっさりと裏切られた。メタルテープの開発は、自分の専門領域とは全く違う分野の仕事だった上、これまで何人かの技術者が挑戦して、うまくいかなかったという、いわくつきの難テーマだった。鼻っ柱の強かった私は、これは自分の実力を試す会社の策略ではないかと思ったりしたが、自分は博士だという気負いもあり、すぐにも片付けてやると意気込み、開発に着手した。

1980年、メタルテープを開発していた仲間と社員旅行での1枚

 野球でいえば入団の年にいきなり20勝ぐらいあげてやるというぐらいに、入社前には鼻息が荒かったのだが、その自信は崩れていった。メタルテープの開発で初勝利を上げるのに、結局8年もかかってしまった。それでも私が幸運だったのは、当時、ソニーが社運をかけていた8ミリビデオ開発の最重要デバイスにメタルテープが位置付けられ、次々と優秀な人材が投入されていたことだった。そういった人材の中には、大学は出ていないが、実験の精度はピカイチという人もいた。このメタルテープの開発過程で、私は、自分の知識がいかに限られた範囲のものであったかに気付かされ、抱いていた自信も全く根拠がなかったことを痛感した。同時に、開発には仲間が大事だということも、身を持って学んだ。

コメント1件コメント/レビュー

「1,10,100の法則」:「死の谷」というやつですね.さすがは,ソニーの創業者ですが,時代の流れを乗り越える人材が日本にはもういない,ということでしょうか....(2016/04/28 10:29)

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「人生はループ~研究者・技術者・経営者として」の著者

中鉢 良治

中鉢 良治(ちゅうばち・りょうじ)

産業技術総合研究所理事長

1977年、東北大学大学院工学研究科博士課程修了。同年、ソニー入社。2005年、同社取締役代表執行役社長に就任。2013年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「1,10,100の法則」:「死の谷」というやつですね.さすがは,ソニーの創業者ですが,時代の流れを乗り越える人材が日本にはもういない,ということでしょうか....(2016/04/28 10:29)

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