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モノづくりの未来、“What”を追究せよ

2016年6月7日(火)

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多品種少量・変種変量生産ニーズに適応した新しい半導体生産システム「ミニマルファブ」

 開発とモノづくりにどっぷりと漬かっていた前職では、研究と開発、モノづくりは一連のプロセスであり、最終的にモノにしなければそれまでの投資と努力はすべてムダになると考えていた。民間企業のこうした考えは、製品化の効率向上には役立ったであろうが、イノベーション力の蓄積という点では、問題を残してしまったような気がする。

 一方、一般論ではあるが、大学や公的研究機関の研究現場は、文字通り、研究のための場所であって、そこに製品開発とか、モノづくりという概念が入ることは少なかった。研究者の第一の目的は、研究論文の作成と発表であり、むしろ、研究に従事するアカデミアの人が、モノづくりに直接かかわることは慎むべきとすら考えられていたのである。

研究の位置づけが変わってきた

 ところが今日、公的研究機関は勿論のこと、大学さえも、その研究をいかに社会に役立てるかが求められるようになってきた。私のような、民間企業で開発やモノづくりに従事してきた者が、こうして公的研究機関にいることも、今日の社会的要請を反映した結果なのかもしれない。研究機関の役割や周囲からの期待が変わってきたことと時期を同じくして、「モノづくり」という概念も大きく変化しようとしている。モノづくりは何らかの価値を生み出す重要な活動であることは変わらないが、物理的なモノの価値から、概念的なコトの価値に重きを置く「コトづくり」の時代になったと言われる。

 本来「三種の神器」と言えば、皇位のシンボルとして崇められてきたものを指すのだが、戦後日本の復興期、国民がこぞって欲しがったモノは、テレビ、洗濯機、冷蔵庫で、これらは電化製品の「三種の神器」と呼ばれた。お隣がテレビを買ったらウチも買わなくちゃ、と考えた時代である。やがてこれらのモノが一通り行き渡ると、今度は新たに「カラーテレビ、クーラー、自動車(カー)」が求められるようになり、これらは頭文字をとって「3C」とか「新・三種の神器」と呼ばれた。「三種の神器」から「3C」に至る過程はちょうど日本の高度成長期にあたり、国民の所得の向上がそのままモノの購入に結びつき、生活の豊かさを実感できた時代である。今日の新興国も同様のプロセスをたどっているように見える。

 モノづくりが経済成長の源泉で、多くの消費者に豊かさをもたらしてきた時代の「モノ」と、生活必需品が一通り行き渡り、次第にモノ離れの兆しが出てきつつある時代の「モノ」とでは、自ずとその価値は異なる。かつてのモノづくり時代には、消費者の欲しがるモノ“Know What”は明瞭であったから、メーカーは、同じような製品の品質やコスト、生産量の改善など“Know How”の方が競争戦略として優先されたのである。つまり、どこよりもいいモノを、どこよりも安く、きちんと期日通りにお客様にお届けできるかどうかが競争のポイントであった。

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「モノづくりの未来、“What”を追究せよ」の著者

中鉢 良治

中鉢 良治(ちゅうばち・りょうじ)

産業技術総合研究所理事長

1977年、東北大学大学院工学研究科博士課程修了。同年、ソニー入社。2005年、同社取締役代表執行役社長に就任。2013年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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