「アジアにシリコンバレーのような共同体をつくる」――。ベンチャー起業専門に投資・育成を手がけるMistletoeの孫泰蔵社長兼CEO(最高経営責任者)がこんな志を抱くようになった背景には、ヤフー創業者のジェリー・ヤン氏のほか、「シリコンバレーの父」と呼ばれるウィリアム・ミラー スタンフォード大学名誉教授や兄・孫正義ソフトバンク社長らの影響があった。彼らのようなイノベーターたちの姿勢や思いに触れるうちに、「より豊かな社会をつくる」ことを意識するようになった。志は再生産されるもの。今度は後輩たちにそれらを引き継ぐ番だとも意識している。

「ピュアに志を追求せよ」
私は今、起業を目指しアドバイスを求めにくる学生やビジネスパーソンにこう説いています。
そして、私自身は「志僑をつくる」という大きな志を抱いています。
ただ、かくいう私も、この志をすんなりと立てられたわけではありません。
「泰蔵、お前も男に生まれたんやったら、志ば持って熱く生きなきゃいかんばい」
子供の頃から私は父・三憲にこう言われて育ちました。そのため、私自身、「何か打ち込めるものを見つけて情熱を注ぎたい」「一生、興味を持ち続けられるテーマを見つけたい」という思いを持ち続けていました。
けれど、20歳を過ぎてもその「何か」は一向に見つかりません。「志ってなんだろう」――ピンとくるものはありませんでした。
2浪した末に入学した東京大学ではバンド活動に没頭。就職超氷河期と言われた時代で、周りの学生は早くから就職活動を始めていましたが、志の見つからぬ私は一向にやる気が起きず、全く何もしていませんでした。
そんな私がヤフー創業者のジェリー・ヤンさんに会い、人生が180度変わる経験をしたというエピソードは「はじまりもワイルドだった」の回でご紹介したとおり。ヤフー・ジャパンの立ち上げを手伝うためにインディゴという会社をつくり、期せずして起業家になりました。
それ以来、色々な会社の立ち上げにかかわりましたが、5年ほど前、ふと考えるようになりました。
「オレ、何がしたいんだっけ?」
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