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生活習慣の放置こそが、再発を招く自殺行為

西城秀樹さんの急逝に思うこと

2018年6月7日(木)

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在りし日の西城秀樹さん(写真:Masashi Hara/Getty Images)

 西城秀樹さんが63歳の若さで急逝した。野口五郎さん、郷ひろみさんとともに「新御三家」と呼ばれ、1970年代のミュージックシーンを代表するスターだった。それだけに2度の脳梗塞を経てなおステージに立ち続けた姿は神々しくもあり、痛々しくもあった。

 全盛期の西城さんをリアルタイムで知っている中高年世代は、還暦を過ぎてリハビリと格闘する姿と、記憶のなかにあるスーパースターの残像との折り合いをつけることができなかったに違いない。

 同世代であり、脳梗塞という共通の経験をしている私にとっては、西城さんの早すぎる死はいたたまれぬものがあった。西城さんの告別式で野口さんが読んだ弔辞は私の胸にも迫るものがあった。

 具体的なエピソードを繋げて語った野口さんの弔辞は、晩婚だった大スター2人が友情を紡いできた様子を切々と語った。3年前、西城さんの還暦を祝うコンサートの時、サプライズで登場した野口さんが舞台袖から現れ、バースデーケーキを乗せたワゴンを西城さんの近くまで押していき、こんな声をかけた。

 「抱いていいか?」

ハグで分かった「重さ」の意味

 この予想外の言葉に驚いた西城さんは目を丸くして「何だよ」と言い返すのが精一杯だった。その後、何が起こったのか。野口さんが弔辞のなかで触れている。

 「還暦パーティーで僕が『抱いていいか』。『何だよ』と言われたけど、僕はそんな君を抱きしめた。その時、君は僕のことを一瞬抱きしめ返そうとした。その瞬間に君の体の全体重が僕にかかった。それは僕にしか分からない。心の中で『秀樹、大丈夫だよ。僕は大丈夫だからね』そう思った。それと同時に僕の全身が震えた。こんなぎりぎりで立ってたのか。こんな状態で、ファンの皆さんの前で立ってたのか。そこまでして、立とうとしていたのか。なんてすごいやつだ」

 テレビで紹介された西城さんの姿を見ると、歩行にも相当苦労されている様子だった。何でもそうだが、自転車と同じで、動いていれば姿勢を制御することは容易だが、止まったとたんに安定を失う。

 かなり重度な麻痺が残った西城さんには、その場でじっと立ち続けることの方が、歩くことより辛かったのかもしれない。全身を神経にしてようやくバランスしていたものが、野口さんとのハグで一気に崩れてしまったのだろう。

 そんな状態でステージに立ち、歌を歌うのは並大抵のことではない。当然、あらかじめ収録済みの歌声に、ステージ上で合わせるだけのパフォーマンスもあったようだが、生の歌声を披露することもあったという。しかも西城さんは年間70回に及ぶステージをこなしていたというのだから、その陰では凄まじいリハビリがあったであろうことは想像に難くない。

 しかしテレビが伝える西城さんのリハビリの手法は、私にはまったく理解できなかった。

コメント13件コメント/レビュー

ヒデキの生き様についてあれこれ言うのは、この稿の目的ではないと思う。脳梗塞のリハビリについて、世間一般に誤った知識が流布しているのを指摘されたいのでは?また、芸能マスコミの中で、野口五郎がハグの瞬間に親友の病の重さを知った、という衝撃的事実に触れたのは、知る限り皆無。自ら脳梗塞を体験している財部氏だからこその指摘に、涙が止まりません。(2018/06/12 08:26)

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「生活習慣の放置こそが、再発を招く自殺行為」の著者

財部 誠一

財部 誠一(たからべ・せいいち)

経済ジャーナリスト

1980年、慶應義塾大学を卒業し野村證券入社。出版社勤務を経て、1986年からフリーランスジャーナリスト。BSイレブンの「財部誠一の『異見拝察』」などTVやラジオで幅広く活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ヒデキの生き様についてあれこれ言うのは、この稿の目的ではないと思う。脳梗塞のリハビリについて、世間一般に誤った知識が流布しているのを指摘されたいのでは?また、芸能マスコミの中で、野口五郎がハグの瞬間に親友の病の重さを知った、という衝撃的事実に触れたのは、知る限り皆無。自ら脳梗塞を体験している財部氏だからこその指摘に、涙が止まりません。(2018/06/12 08:26)

そんなに長生きしてどうするの?
健康な状態でいつまでも若々しく寿命とともにぱたりと死ねるならまだしも闘病生活で苦しみながらも長生きしたいと考える人は一体どれだけいるのか?
むしろ無駄に長生きして周りに余計な迷惑かけて生きる位ならというか個人的には50歳まで生きたらもう十分だとおもっている
長寿長寿という前に、長寿に置けるリスクヘッジすら考えない人が多いことの方に個人的にはビックリ(2018/06/09 11:09)

医者じゃないんだから、SNSレベルの画像投稿を持ち出して
リハビリ内容にまで口出しするのは筋違いだと思うね。

この問題の根底にあるのは、病態や老体を酷使してまで
「過去の輝き」が求められる業界の体質だと思う。

「亡くなるまでストイックに突き進んだ=素晴らしい人だった」

という感想が持てないのなら、そういう業界の体質は
今後も続けていくべきではないし、
上記の概念に囚われている業界だとするなら、
そこに医療を持ち込むのは無理がある。

逆に「寝たきりにならず、終生まで自分の仕事に人生を捧げた。」
と考えるなら西城さんは、本当に最後まで輝き続けた人だと思うし、
並大抵の人ではない。


「豊かな生活習慣」と一緒に「生活習慣病」を国民に持ち込んだのは、
食生活をの崩壊へと誘惑するCMと、あれが良いこれが良いと
ヒステリーになる流行を作ってしまった各番組にも原因がある。
そういった業界で活躍していた人に対して、「生活習慣」という
タイトルで記事を書くには、私には倫理的に理解できない。(2018/06/09 08:14)

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