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脳梗塞との戦いの始まりで、最善は尽くせたか?

検査や薬の選択めぐり、病院への不信感も

2017年6月21日(水)

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奇妙なことに、症状は嘘のように消えた

深夜、救急車で近くの救急病院へ。(写真:PIXTA)

 ものの10分ほどで救急隊員が駆けつけてくれたが、ここで奇妙な事が起こった。

 右手脚が感覚を取り戻し、脳梗塞だと思いこませた症状が嘘のように消えてしまったのである。救急隊員に向かって私は事の経緯を伝えたが、現状何も問題がない私を、救急病院に連れて行って良いものかどうか、彼らは迷っているようだった。

 しかしほんのちょっとの間とはいえ、手足の感覚を失ってしまった恐怖感が生々しく残っている以上、もう大丈夫だと放置してよいとは到底思われず、私は救急病院への搬送を強く要望した。多忙を極める救急医療の実情を考えれば病院側が受け入れを渋るのは当然だが、救急隊員の粘り強い説得のおかげで、世田谷内の救急病院が受け入れてくれた。

 当直医は脳神経外科医で、手足の動きをチェックし、CT(コンピュータ断層撮影)スキャンやレントゲンの検査の結果を見たりしたが、脳梗塞の痕跡はまったく見られなかった。

 「おそらく一過性脳虚血発作でしょう」

 当直医はそう診断した。一過性脳虚血発作とは、脳梗塞と似たような症状をきたすものの早ければ数分以内、遅くとも24時間以内に症状が消えてしまう病態のことである。

 それは脳梗塞の前兆と考えられており、適切な内服治療を行わなければ90日以内に脳梗塞を発症すると言われている。だがそんな事を当時の私は知るよしもなく、ただただ当直医の診断を聞き、その指示によりしばらく検査入院して様子をみることになった。

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「財部誠一 脳梗塞からの帰還」のバックナンバー

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「脳梗塞との戦いの始まりで、最善は尽くせたか?」の著者

財部 誠一

財部 誠一(たからべ・せいいち)

経済ジャーナリスト

1980年、慶應義塾大学を卒業し野村證券入社。出版社勤務を経て、1986年からフリーランスジャーナリスト。BSイレブンの「財部誠一の『異見拝察』」などTVやラジオで幅広く活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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