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「男は黙って」世界の第一線を戦う

対談 隈研吾×茂木健一郎(3)

2016年6月20日(月)

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英語が苦手な日本人。でも、英語を母語としないからこそ、到達できる世界がある。「無口」だからこそ得られる評価がある。新国立競技場をテーマとした隈研吾×茂木健一郎対談、最終回です。

(前回から読む

:「望ましい困難」があると、それを乗り越えようとして人の能力が伸びるというお話でしたが、それで言うと、ぼくら日本人にとって、英語という世界共通語も「望ましい困難」に入るんじゃないかと思いますね。

茂木:ものすごい困難、制約です。

:うちの事務所には海外のスタッフも結構いるのですが、ぼくは彼らのことを言葉で言い負かそうとは絶対に思わないんです。言葉だとかなわないから、むしろ聞き役に徹しようと決めていて。

茂木:そうなんです。英語のような外国語に対するスタンスも、自分の中で変化がありました。最近、ネイティブと比べて自分の英語が下手くそだ、ということが、僕にとってはうれしいことになってきています。だからこそ、できることがあるんだ、と。

:それは素晴らしいことだよね(笑)。

茂木:単純にボキャブラリーサイズでいうと、通常の日本人が大学入試で覚える英単語は6000語ぐらいだと言われています。母国語以外の第二外国語として英語を勉強している人のボキャブラリーサイズは、1万2000語ぐらいです。僕はイギリスに留学していたこともあって、計測すると、だいたい2万5000語ぐらいです。

:すごいじゃないですか。

茂木:一見、すごく思えますでしょう。ところがネイティブは、その2万5000語が最低レベルで、通常は3万5000語とかになるんです。でも、この2万5000語から3万5000語の範疇に入っている単語って、まずネイティブでも通常は見聞きしないような言葉なんですよ。

:へえ。

茂木:フィナンシャルタイムズとか、タイムマガジンとか、いわゆる教養系の新聞雑誌を読んでいても、ひんぱんには出てこない。たとえば小説を読んでいると、10年に1回くらい出てくるような単語だというのです。

:それをネイティブは知っているんですね。

茂木:ということは、僕らには絶対に到達不可能な世界じゃないですか。

隈研吾(くま・けんご)
1954年、横浜市生まれ。1979年、東京大学工学部建築学科大学院修了。米コロンビア大学客員研究員を経て、隈研吾建築都市設計事務所主宰。2009年より東京大学教授。(写真:鈴木愛子、以下同)

:確かに。

茂木:でも、逆に見ると、たとえば日本に長く住んで、日本語を流暢にしゃべるデーブ・スペクターさんのような方の日本語だって、実はネイティブな日本語とは違いますよね。

英語が母語じゃないから到達できる場所

:あらためて考えると、言語の壁って、ものすごく高くて深いですね。

茂木:だからこそ、日本人の中でしか到達できないことがある――と、僕は思うんです。それはきっと、アメリカ人やイギリス人には得られない感覚で、日本語を母語にしている人じゃないとわからない。隈さんの建築もそういうところがありますし、彫刻家の内藤礼さんのアートもそうじゃないかと思います。

:それは面白い視点ですね。ぼくもコロンビア大学に留学したときに、英語でやっていこうとしたら、外国人に言い負かされちゃうことを悟った(笑)。だから、うちのスタッフみんなの言うことを聞いて、その中からどういうバランスを見出していくか、ということを常に考えています。日本人同士だと、ボスの言うことを盲目的に支持しがちですが、海外の人間はそうではないでしょう。その違いの中から、新しくて面白いことが出てくるんじゃないかと思っています。人のことを聞かない人間はどんどん退化します。今の茂木さんの話と関連があるかもしれない。

茂木:スタッフは世界中の方がいるんですか。

:15カ国ぐらいでいろいろです。チームを組むときは、海外スタッフだけのチームではなく、日本人スタッフとの混合にします。英語ネイティブは少数派だから、みんなが大してうまくない英語でミーティングをして、ぼくが聞き役です。海外のスタッフがいると、毎日みんなでわいわいと旅行をしている感じになって、事務所の雰囲気が楽しくなるんですよね。

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「「男は黙って」世界の第一線を戦う」の著者

隈 研吾

隈 研吾(くま・けんご)

建築家

1954年、横浜市生まれ。東京大学工学部建築学科大学院修了。米コロンビア大学客員研究員を経て、隈研吾建築都市設計事務所主宰。2009年より東京大学教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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