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岡倉天心「アジアは一つ」は今も遠く

経済連携の本質は「共通の敵」ありきか

2017年12月1日(金)

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岡倉天心の「Asia is one」

岡倉天心(1863~1913年)(写真:akg-images/アフロ)

 「Asia is one.(アジアは一つである。)」

 明治の思想家、岡倉天心(岡倉覚三)が1903(明治36)年に書いた『The Ideals of the East(東洋の理想)』は、この一文から始まる。

 東京美術学校校長であり日本美術院創立者の岡倉天心は、ボストン美術館東洋部長も務めていて英語が堪能だった。天心がインド滞在中に執筆したこの本は英語で書かれ、日本で紹介される1939年までは海外で読まれた。

 岡倉天心は「普遍的なものを求める愛」をアジア民族共通の思想とし、「Asia is one」と表現した。

 儒教をはじめとした中国の思想やインド伝来の仏教が日本文化の基礎となっていることを前提に、天心の思想のなかでは20世紀初めからアジアはすでにひとつにまとまった存在だったのだ。

 翻って今年11月、フィリピンで開催されたRCEP(東アジア地域包括的経済連携)閣僚会合では、目標としていた2017年内の合意が断念され、来年以降も継続交渉することが確認された。高度な貿易自由化レベルを求める日本やオーストラリアと、自国産業の保護を考えるインドや中国、インドネシアなどの意見には関税分野でもいまだ溝があり、電子商取引(EC)などのルール分野でも議論が収束していない。

 岡倉天心が語った美術・思想の世界と違い、通商の世界では「Asia is one」の実現には乗り越えなければならない壁が残っている。

アジア経済は何ひとつ統一されていない

 実際のところ、経済や通商の世界で今の世の中はどれだけ「Asia is one」に近づけているのだろうか。

 まずは通貨だ。EUと違い、アジアの通貨は国によってバラバラである。

 1997年以降のアジア通貨危機を経た後、域内貿易比率が高まってきたこの地域では、ユーロが好調だった2005年前後にアジア共通通貨の構想が浮かび上がった。しかしながらEU以上に域内経済格差があり金利政策も異なるアジア各国がこれを実現するのは容易でない。現在となってはユーロの先行きも怪しく、今日にアジア共通通貨を提唱する声は小さい。

コメント8件コメント/レビュー

すでに何人かコメントしているけれどアジアなんて一まとめにできる地域はありませんね。インド、中東、イスラエル、日本のどれも全く持って別の存在です。また日本もアジアのくくりにまずは入れないでしょう。経済、科学技術力だけでなく、固有の文化もよく一緒にされる韓国中国などとも全く違います。宗教も神道ベースですから。仏教はおまけみたいなもので、離れた目線で見れば神道の一部的な扱いでしょう。こういう意味でも韓国中国とも際立って文化的下地が違います。漢字やその他文化は有用な道具として中国から入ってきてはいますが、宗教的な意味での日本文化の下地にはなっていません。少なくとも日本だけはアジアという枠組みから分けるよう国際的にも主張していくべきでしょう。(2017/12/03 10:55)

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「岡倉天心「アジアは一つ」は今も遠く」の著者

羽生田 慶介

羽生田 慶介(はにゅうだ・けいすけ)

デロイト トーマツ パートナー

経済産業省、キヤノン、A.T.カーニーを経て、デロイト トーマツ コンサルティングへ。現在は、パートナー/執行役員 レギュラトリストラテジー リーダー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

すでに何人かコメントしているけれどアジアなんて一まとめにできる地域はありませんね。インド、中東、イスラエル、日本のどれも全く持って別の存在です。また日本もアジアのくくりにまずは入れないでしょう。経済、科学技術力だけでなく、固有の文化もよく一緒にされる韓国中国などとも全く違います。宗教も神道ベースですから。仏教はおまけみたいなもので、離れた目線で見れば神道の一部的な扱いでしょう。こういう意味でも韓国中国とも際立って文化的下地が違います。漢字やその他文化は有用な道具として中国から入ってきてはいますが、宗教的な意味での日本文化の下地にはなっていません。少なくとも日本だけはアジアという枠組みから分けるよう国際的にも主張していくべきでしょう。(2017/12/03 10:55)

トインビーや多分それを受けたハンチントンは、日本をアジアと言うか中華文明とは「別の文明」と理解している。

実は我が国はそもそも、アジアではないのかも知れない。
いや、アジアに、中華文明圏に接近したとき、かならず双方に惨禍をもたらしていないだろうか。

我々は典型的な海洋国家であり、大陸を中心とするアジアとは経済も社会も、かなり異なっているかも知れない。むしろ太平洋周辺の「パシフィカ」とでも言うべき地域なのではないだろうか。

たとえば、欧州は一つになりかけたが、英国は離脱した。
応酬は独仏、かつてのフランク王国を核として、まとまっていくだろう。

アジアは中国が共産主義を完全放棄、民主化したときは、本当に民主中国を核として、まとまる可能性がある。が、中国の民主化はほぼ不可能だろう。つまりアジアは半永久的にまとまらないのではないだろうか。そんなものをまとめ、その中枢に日本が立とうとすること自体、無謀なことかも知れない。
むしろ、アメリカを「バックボーン」としつつも、TPPを核とした太平洋域+アジアの半海洋性国家との連携を固め、ソフトな太平洋共栄圏を築くべきではないだろうか。(2017/12/03 09:47)

岡倉天心の真意は知りませんが、Asia is oneを多様性を包括する概念と理解するなら、それは素晴らしい概念だと思います。 歴史を振り返るに、多様性を包括する文化、経済活動は人々を豊かにしてきたと思いますし、多様性を排除する文化、経済活動は必ず戦争になったと思っているからです。もし人間の性として、多様性を許してまとまるには共通の敵が必要なら、宇宙からの危機でも迫らない限り地球の上では悲惨なことが絶えないという悲観的な結論が導かれてしまいます。(2017/12/02 00:42)

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三品 和広 神戸大学教授