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ゴジラと「ジャパン・パッシング」

外交カードとしての活用を考える

  • 羽生田 慶介(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員)

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2016年9月29日(木)

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日経ビジネスオンラインでは、各界のキーパーソンや人気連載陣に「シン・ゴジラ」を読み解いてもらうキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を展開しています。
※この記事には映画「シン・ゴジラ」の内容に関する記述が含まれています。

 「シン・ゴジラ」は庵野秀明総監督による斬新なアイデアが具現化された映像だけでなく、緊迫感を醸成する音楽の構成や場面設定の背景にもプロの仕事が詰まっている素晴らしいエンタテインメントだった。

 特に、描かれている官僚や政治家の動きのリアリティについて各メディアで大いに話題になっている。ひと頃霞ヶ関で過ごした立場から見ても非常に真に迫っていた。

 気になるのは、緊急時の閣僚レクの場では、徹夜明けで小汚い課長補佐や係長がもう少し画面に映っているはず、などの些末な点に限られる。

 そのリアリティゆえに劇中の「虚構」を「現実」の示唆につなげてみたくなる特異な作品だ。かつて経済産業省でアジア各国との経済連携(FTA・EPA)交渉に従事した経験を持つ私がシン・ゴジラを観て、頭をよぎったキーワードは「ジャパン・パッシング」だ。

羽生田 慶介(はにゅうだ・けいすけ)氏
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員/パートナー

経済産業省で日ASEAN経済連携(EPA)交渉に従事した後、A.T.カーニーやキヤノンを経てデロイト トーマツ コンサルティングに参画。経営戦略・事業戦略の豊富なコンサルティング経験と規制・制度に関する深い理解を背景に、官民のルール形成戦略の支援に注力している。

シン・ゴジラは喪失の映画

 劇中ではゴジラの上陸、そして対ゴジラの作戦のなかで日本の中心部が破壊され、多くの人命、国民の生活が失われた。

 また、この映画の中では甚大なる経済的損失も発生している。建物・インフラの損壊や空港閉鎖による産業機能の不全だけでなく、放射線物質の除染の問題や通貨、国債の暴落によるデフォルト(債務不履行)リスクにとどまらず、今後発生する損失についての言及もあった。多くのビジネスパーソン、家庭人が心のどこかに持っている破滅願望を爽快に映像化した。

 現実の世界で英国のEU離脱など不安定なグローバル動向下で円高にあえぐ日本企業からすれば、例えばゴジラによる都市の壊滅で起きる円の暴落もまた爽快、かもしれない。ただ、東日本大地震直後には多くのエコノミストが円の暴落を指摘していたものの、実際には復興需要を見越した円高となった。

 要するに、今日の現実の日本からすれば、ほぼ何もかもが悪化した喪失の世界を見せたのがシン・ゴジラという映画だ。

国際的なプレゼンスの向上につながる?

 多くを失ってしまったゴジラ襲撃後の日本ではあるが、良くなったこともある。

 古い政治機構を正しくデザインし直せることや、インフラをより効率的に作り直せること、そして矢口(蘭堂=長谷川博己)と泉(修一=松尾諭)の更なる親密化などなど、視点に応じて挙げるものは異なるだろう。

 その中でも、現実の日本が置かれている状況との比較で圧倒的に改善されるであろうことは、「国際的なプレゼンス」の向上だ。

 近年「ジャパン・パッシング」と言われるように、海外の政府や企業が日本の存在感を軽んじて日本を「素通り」する現象が危惧されるようになっている。

 有力ブランドが日本ではなく中国にショップをオープンしたり、グローバル企業が日本ではない新興国に投資の比重を置いたりすることが増えている。アジアからの留学生が日本を素通りして英語圏に留学することはもはや珍しいことではない。

 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉は、日本が交渉参加を決めた2013年までの3年間以上、ジャパン・パッシングの様相のままアジア太平洋地域のルールづくりが行われてきた。

 映画の中では、まずゴジラ自身に日本(東京)が「パッシング」された。

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