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ゴジラは日本人の「かい離」を背負っている

精神科医・名越康文氏がゴジラを“診断”

2016年9月30日(金)

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日経ビジネスオンラインでは、各界のキーパーソンや人気連載陣に「シン・ゴジラ」を読み解いてもらうキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を展開しています。
※この記事には映画「シン・ゴジラ」の内容に関する記述が含まれています。

名越康文(なこし・やすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。写真は稲垣純也。

名越さんは歴代のゴジラ作品をほとんど見てきた「ゴジラファン」と聞きました。「シン・ゴジラ」を見て、どのように感じられましたか。

名越康文(以下、名越):もうね、大好きなゴジラで、それも庵野(秀明・総監督)さんが手がけるわけでしょう。見る前からワクワクして、見たらやっぱり面白かった。めちゃくちゃ面白かったというのが前提なんですけれど、この取材を依頼されない限り、もう一度見るっていう気が起こらなかったの、僕。

え、意外ですね!?私なんて数を言うのが恥ずかしいくらい見ちゃいましたよ。リピーター続出というのが「シン・ゴジラブーム」だと思うのですが…

名越:宝島社のムックに寄稿もしていたし、見る前は「3回は見よう」と思っていたんですが、1回見て何かちょっと疲れてね。何で疲れたんだろうと考えたんです。そこで分かったのは、僕はベタなゴジラが好きなんだと。

いわゆる、怪獣映画としての「ゴジラ」。

名越:そうなんです。庵野さんの作品もたくさん見てきて大好きです。「新世紀エヴァンゲリオン」とかも全部見ています。でもね、ゴジラを見るときは別の自分になるというか、子供に戻るんです。今、56歳ですが、ゴジラを見ているときは8歳とか10歳になっているわけです(笑)。「ゴジラ少年」だった僕から見ると、ゴジラがあまりにもアクションが少なかった。ゴジラのアクションがね。暴れたりないというか。

もともとのゴジラファンからは、名越さんと同じ意見の方も多いように感じます。

名越:「ゴジラ対キングコング」とか、ゴジラがモスラやキングギドラと対決する映画をずっと見てきた僕からしたら、やっぱりもっとアクションがあってほしい。ゴジラの格闘ね。

 でも、そういうのも言いづらいというか、言ったらいけないみたいな空気がある。だからあえて言うのですが。何かこう、ゴジラを哲学的に捉えて、日本の歴史に位置付けてのムーヴメントが大きい。シン・ゴジラはエンターテインメントとしては十分面白いのですが…。

シン・ゴジラは「警鐘」ではなく「パロディー」だ

哲学的に捉える面白さが、今作の人気にもつながったのではないでしょうか。

名越:そうなんですけどね。

 「かの国はいつも我が国に無理難題を押しつける」というシーンを見て「ああ、アメリカと日本の関係を表現しているんだ!」と言うのも分かります。でも、そんな関係って、何年も前から分かり切っていることでしょう、と。それをあえてゴジラで意味づけなくてもいい。わざわざゴジラでそれを訴えなくても、みんな分かっているわけで。

 「朝まで生テレビ!」を1回ぐらい見ていたらそんな話ばっかり出てくる。アメリカに対してNOと言えないとか、基地問題や思いやり予算、そんなのニュース番組で散々報道されているわけだから、二番煎じを庵野さんがするわけではない!と。あれは庵野さんなりの「パロディー」なんだと僕は思います。

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「ゴジラは日本人の「かい離」を背負っている」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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