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日米首脳を結びつけた「メディア嫌い」

2017年2月17日(金)

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写真:Mario Tama/Getty Images

 安倍晋三首相は2月10日(米国時間)に訪米し、ドナルド・トランプ米大統領と初の首脳会談を行った。トランプ氏は安倍首相夫妻を別荘に招き、トップ2人でフロリダにおいて5時間にわたるゴルフを楽しみ、両者の蜜月ぶりをアピールした。この会談について日本の新聞やテレビは、おおむね高く評価している。

 だが、僕は今回の安倍・トランプ会談については評価していない。成果はあまりなかったと思う。ただお互いに意気投合しただけで、大事な問題には対峙せず、すべて先延ばしにしたからだ。

 事前に懸念されていた両国間の問題について、深く話さなかった。トランプ大統領が繰り返し強調していた自動車の問題もそうだ。アメリカの対日貿易赤字の8割が自動車だという。トランプ大統領は、「日本は自動車をアメリカにどんどん輸出しているが、アメリカの自動車は日本に輸出しにくいのは不公平だ。『貿易の壁』がある」と強く主張していた。ところが、会談でアメリカがそれを強く要求をしてこなかった。

 トランプ大統領は「中国や日本は為替操作をしていて自国通貨を安く誘導している」と批判していたが、これについての具体的な議論もなかった。

 あるいは、2国間の自由貿易協定(FTA)についても、深く話し合わなかった。アメリカは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加を拒否し、これから日本に対して二国間協議に持ち込もうとしているのではないかと言われている。

 会談の前には、畜産や農業などの分野でアメリカから要求があるのではと思われていた。特に牛肉だ。オーストラリアから日本に入ってくる牛肉は、アメリカから入ってくる場合よりも関税が安い。オーストラリア産の牛肉がどんどん日本に入ってくる一方で、アメリカからの輸入量は減少している。トランプ大統領は、これについても非常に大きな不満を持っている。その他、コメや乳製品なども同様だ。

 こういう経済問題がたくさんあるにも関わらず、日米首脳会談では何も出なかった。結局は、日米の間にある深刻な問題を先送りしただけだ。

 今回の首脳会談を成功だとする意見の中には、アメリカから厳しい要求がなかった点を評価するものがある。ホッと胸をなでおろした政府関係者もいた。だが、今の時点で蜜月をアピールしても、問題が消えることはない。為替問題や貿易問題は近い将来、必ず噴出するのだから。

コメント45件コメント/レビュー

「メディア嫌い」が結びつけたというのはなるほど面白い。その通りかもしれないし,安倍首相のパフォーマンスの巧みさを感じる。パフォーマンスが本当の「未来を真摯に考える首脳関係」の礎になるなら,我々は優れた首相を持ったと誇れる。しかし,安倍首相にそこまでの大局的歴史的視野があるとは残念ながら思えない。その場しのぎのパフォーマンスは三流の大道芸人の「猿芝居」だ。その評価は歴史がするだろうが… さて,「国連中心主義」について,私は「危うい」と感じている。とはいえ今の日本外交はこれにこだわらずいくつかのオプションを持ちながらしたたかに対応していると思う。そして,それは我慢できる最低ラインはクリアできていると思う。おそらく,日本の外交は3つの選択肢を巧みに組み合わせている。「国連中心主義」「日米基軸(同盟)主義」「太平洋中心海洋重商主義」「アジア共栄共存主義」「グローバル世界主義」などだ。これらを安全保障,通商貿易,教育・文化交流,などの分野で比重を変えながらしなやかに時には危なっかしく対応していると思う。このうちの「安全保障」を国連に依存する考え方はやや危うい。しかし,アメリカが「右傾化,孤立化」に走った時のオプションとしては重要だ。その意味で「国連」を無意味とは言わないが,「中心」に据えるべき時代は終わっている。1990年をこそ国連中心主義の「始まり」の年に据えようという視点は違うと私は思う。むしろ,「国連中心主義」の終焉の年だと私は思う。第2次世界大戦の戦勝国が世界平和を築く中心となることが,「国際連合」の中心理念だったと理解しているので,この年をもってその能力と役割,体制が消失したと考えている。しかし,「国連」は存続している。これに新しい役割を割り当てねばならない。「国際平等主義」とでもいうべきものだろう。しかし,現状でこれが機能しているようには思えない。まだまだ,世界は混沌としている。秩序を紡ぎだす「力」が必要で,その知からは今のところ「国連」には備わらない。大国の軍事力の「恐怖の均衡」が残念ながら現実的唯一の選択肢だとわたしは思う。(2017/02/24 14:35)

「田原総一朗の政財界「ここだけの話」」のバックナンバー

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「日米首脳を結びつけた「メディア嫌い」」の著者

田原 総一朗

田原 総一朗(たはら・そういちろう)

ジャーナリスト

1934年滋賀県生まれ。早大文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経て、フリーランスのジャーナリストとして独立。「朝まで生テレビ!」「サンデープロジェクト」等のキャスターを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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「メディア嫌い」が結びつけたというのはなるほど面白い。その通りかもしれないし,安倍首相のパフォーマンスの巧みさを感じる。パフォーマンスが本当の「未来を真摯に考える首脳関係」の礎になるなら,我々は優れた首相を持ったと誇れる。しかし,安倍首相にそこまでの大局的歴史的視野があるとは残念ながら思えない。その場しのぎのパフォーマンスは三流の大道芸人の「猿芝居」だ。その評価は歴史がするだろうが… さて,「国連中心主義」について,私は「危うい」と感じている。とはいえ今の日本外交はこれにこだわらずいくつかのオプションを持ちながらしたたかに対応していると思う。そして,それは我慢できる最低ラインはクリアできていると思う。おそらく,日本の外交は3つの選択肢を巧みに組み合わせている。「国連中心主義」「日米基軸(同盟)主義」「太平洋中心海洋重商主義」「アジア共栄共存主義」「グローバル世界主義」などだ。これらを安全保障,通商貿易,教育・文化交流,などの分野で比重を変えながらしなやかに時には危なっかしく対応していると思う。このうちの「安全保障」を国連に依存する考え方はやや危うい。しかし,アメリカが「右傾化,孤立化」に走った時のオプションとしては重要だ。その意味で「国連」を無意味とは言わないが,「中心」に据えるべき時代は終わっている。1990年をこそ国連中心主義の「始まり」の年に据えようという視点は違うと私は思う。むしろ,「国連中心主義」の終焉の年だと私は思う。第2次世界大戦の戦勝国が世界平和を築く中心となることが,「国際連合」の中心理念だったと理解しているので,この年をもってその能力と役割,体制が消失したと考えている。しかし,「国連」は存続している。これに新しい役割を割り当てねばならない。「国際平等主義」とでもいうべきものだろう。しかし,現状でこれが機能しているようには思えない。まだまだ,世界は混沌としている。秩序を紡ぎだす「力」が必要で,その知からは今のところ「国連」には備わらない。大国の軍事力の「恐怖の均衡」が残念ながら現実的唯一の選択肢だとわたしは思う。(2017/02/24 14:35)

日米首脳会談の内容については現時点では何もオープンになっていないので分からない。何となくトランプと安倍がゴルフして握手して食事しただけだ。成果?はこれからそれぞれの行動によって現れると思う。結果良かったのか悪かったのかは現時点では判断できない。国連の安全保障に委ねる...理想かも知れませんが現時点では無理でしょう。そもそも国連軍自体青いベレーを被った寄せ集めの烏合の衆。とうてい安全保障をまかされる軍隊では無い。それが証拠に南スーダンの状況を見れば軍事介入してまで何とかしようとはこれっぽっちも考えていない。結果武力闘争が起こっている。田原さんの考えで行くと国連には米軍にも対峙できる強大な軍事組織が必要で、各国からの寄せ集めてあったとしても一旦武力介入となれば自国の軍隊とも交戦するだけの覚悟が必要となろう。それも通常兵器だけでなく核兵器を含めて。そうでなければ一国を守れる安全保障を担保できる国連軍とは言えない。空母機動部隊や海外に拠点となる基地を持っているアメリカが主体的に国連軍を米軍とは別に組織すれば不可能では無いかも知れないがありえない想定だ。ここまで大掛かりで無いとしても拠出金の額に比例する位各国が武器を含む軍隊を貸し出してくれないと成立しないのではないか?(2017/02/20 19:06)

皆さん仰っていますが今の国連はそんなに良い組織ではありません。特に常任理事国とその拒否権は国連を実質骨抜きにしています。せめて多数決で決める組織ならまだしも。一回今の国連を解体して地球政府として再編(各国はそれぞれの自治体)する位でなければ何の権力も発言力も無い寄り合い所帯、単なる社交クラブ程度の存在にしかなりません。常任理事国にしたって戦勝国の集まりにすぎずしかもそれぞれいがみ合っていて自分の利権しか主張していない。せめて選挙で選抜するとか拠出金の多い順にするなどにしないと駄目でしょう。無駄に固定されているから始末が悪い。(2017/02/20 18:44)

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