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マクロン氏は「仏の在り方」を示していない

2017年5月12日(金)

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 5月7日に投開票された仏大統領選挙で、予想通り中道・独立系のエマニュエル・マクロン氏が勝利した。得票率を比べると、マクロン氏は65%、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏は35%と大きな差がついた。

仏大統領選で勝利したエマニュエル・マクロン氏
(写真:Polaris/amanaimages)

 英国のEU離脱決定、米国のトランプ政権誕生という今年の流れを振り返ると、言うまでもなく世界の政治思想の大きな流れとして「自国優先主義の台頭」があった。マクロン氏はその流れとは一線を画す「親EU、親移民」を主張していた。

 フランス国民がマクロン氏を選んだ大きな理由は2つある。一つは、英国のEU離脱決定の反動だ。いわゆるブレグジットが、英国にとって損になるか、得になるか。徐々に世界の認識として「損」との評価が広がってきた。例えば、ロンドンの金融街「シティ」は世界の金融センターだが、離脱後はこの位置付けが軽くなってしまうのではないかという懸念がある。

 さらに、米国との関係も変わりかねない。英国は「米国と欧州を取り持つ」という大事な役割を担っていた。しかし、英国がEUから離脱すれば、この役割も薄れてしまうだろう。

 このような「英国のEU離脱は損失の方が大きい」という見方が、親EUを主張するマクロン氏の追い風になったのは間違いない。

 2つ目は、極右というルペン氏の主義主張そのものに対する懸念だ。フランスの三原則は「自由、平等、博愛」。もともとリベラルな気質を持つ多くの国民にとって、自国優先主義の高まりはあるにせよ極右を選ぶ選択肢は苦しいものがあったろう。

 ルペン氏は極右のイメージを払拭するためにジャンマリ氏を批判していたが、選挙戦の後半でジャンマリ氏が登場し、発言するようになった。ジャンマリ氏がメディアに出るたびに、国民戦線の「極右」や「人種差別主義」のイメージが湧き上がった。これも、ルペン氏の敗北に繋がった大きな要因だと思う。

コメント11件コメント/レビュー

フランス人は「ほとけ」のあり方は、分からんだろう。(2017/05/15 17:39)

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「マクロン氏は「仏の在り方」を示していない」の著者

田原 総一朗

田原 総一朗(たはら・そういちろう)

ジャーナリスト

1934年滋賀県生まれ。早大文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経て、フリーランスのジャーナリストとして独立。「朝まで生テレビ!」「サンデープロジェクト」等のキャスターを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

フランス人は「ほとけ」のあり方は、分からんだろう。(2017/05/15 17:39)

いまの先進国におきていることは資本の偏在です。
高度情報社会で生き抜ける技能を持たなければ低所得になり次の世代は不十分な教育しか受けられず下層階層のままで貧困が再生産されていきます。
自国内でも所得格差があり近くの国にも所得格差、よりよい生活を求めて自国民同士も移民も争います。
解決策はふたつ、自国民の所得を高く保つために保護主義に走るか、低い賃金でも暮らせるように社会保障を充実し徹底的な競争社会に陥ることです。
どちらが選択し易いかですが、国民と企業が選ぶ選択は違います。(2017/05/15 16:02)

微妙に間違ってると思われる所がありつつ
注目点は結構まともだと思う
間違ってると思うのは、フランスは基本的に自国優先主義のはずです
ドゴール主義もあるし、近年公式の場でのブルカ禁止法とかもあります
もう一つは、レーガン元大統領の時は米国は繁栄出来ていない
賃金格差とかの、先の見えない疲弊が始まったのがこの頃のはず(2017/05/14 19:51)

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