
(写真:AFP/アフロ)
日本の景気拡大の期間が今年9月で58カ月間に達し、高度成長期の「いざなぎ景気」を超えたと報じられた。
今月15日に内閣府が発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0.3%増、年率換算で1.4%増。7四半期連続のプラス成長で、16年ぶりの長さだという。
安倍晋三首相が何度も主張している「デフレ脱却」にも近づいている。国内で生産されたモノやサービスの価格水準を示す「GDPデフレーター」は前期比0.3%増となり、2四半期ぶりの上昇となった。
これについて内閣府は、「デフレ脱却に向けた局面変化」が見られると分析した。企業業績も過去最高水準に達している。このままの成長が続けば、デフレ脱却の可能性が高いということだ。
一部の専門家によると、日本がデフレに陥ったのは、1998年だという。政府は2001年3月に「日本経済は緩やかなデフレにある」と発表した。
デフレは想像以上に日本経済を冷え込ませた。企業の売り上げは落ち込み、賃金は伸び悩み、消費者も財布の紐を固くした。このスパイラルは長期に及び、日本経済は低迷を続けたのだった。
そこで安倍首相は「物価目標2%」を掲げ、アベノミクスをスタートさせた。一番の目玉は、日銀が打ち出した「異次元の金融緩和」だ。さらには、このデフレ脱却のチャンスを生かすべく、安倍首相は来年の春闘に向けて、経済界に3%の賃上げを要請した。 5年連続の要請である。
現在の景気拡大は、本当にデフレ脱却のきっかけとなるのだろうか。
先に触れた7~9月期のGDPの内訳を見ると、実質GDPの成長にどれだけ影響したかを示す寄与度は、内需が0.2%分を押し下げ、外需が0.5%分を押し上げている。
つまり、国内の消費は弱いままなのである。この景気拡大は、内需が伸びているわけではなく、堅調に推移する世界経済によるところが大きいのだ。
物価についても疑問がある。内閣府は「デフレ脱却に向けた局面変化」を主張しているが、現在のインフレ率は1%を切っており、日銀が掲げる「物価目標2%」にはまったく届いていない。
中央銀行の「時間稼ぎ」は限界に達しつつある
これについて、11月21日付の朝日新聞「低成長経済 時間かせぎの資本主義、限界に」 で、次のような分析があった。
『時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか』(みすず書房)の著者であるドイツの社会学者ヴォルフガング・シュトレーク氏によると、先進国の自然体での高成長は1960年代に終わっていたという。
今、中央銀行による金融緩和策が世界景気の下支えになっているわけだが、これも限界に達しつつあるのではないかという話である。


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デフレが経済を冷え込ませたのではなく、経済低迷(ほとんど成長しなくなった)ことがデフレを招いた。田原氏だけでないが、経済の因果関係が分かっていない。年率1%程度の成長は、成長停滞と形容すべきである。
成長がほとんどない中で、企業収益が伸びているのは、低賃金労働拡大による資本の取り分が増加しているためであり、いざなぎ超えとわれても実感が伴わないのは当然である。
企業が強欲さを抑え、価格転嫁も、下請けへの皺寄せも行わずに賃金を引き上げ(要するに利益を減少させ)れば、勤労者の実質所得は増え、消費も喚起され、景気も若干は良くなるであろう。しかしこれは減税や給付金と同様、一時の効果しかなく、かつ、民間企業がいつまでも続けられるものではない。
一方、企業が強欲さを露わとすれば、下請け企業の賃金引下げ又は価格転嫁が生じ、実質所得が増えなくなる。
真の解は、高賃金を支払うことができる高付加価値産業を拡大していく他にない。分配を弄っても経済成長への効果は限定的。(2017/11/24 14:01)