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東芝と味の素、命運を分けた買収劇

企業買収のタイミングを誤る日本企業

2017年1月10日(火)

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 nikkei BPnetの人気コラム「財部誠一の『ビジネス立体思考』」は2017年1月から、日経ビジネスオンラインで掲載することになりました。これからもよろしくお願いします。

 過去の記事はこちらからご覧ください。

債務超過の可能性も

 東芝が再び債務超過のリスクにさらされている。

 原子力事業をになう子会社の米ウエスチングハウスが「数千億円規模の赤字」に陥るとの報道をきっかけに、年末のわずか3営業日だけで、東芝の株価は約450円から約250円へと急落。株主の不安心理を映し出した。

 東芝は正確な赤字額は2月に確定するとしているが、「数千億円」と言うからには赤字幅は2000億円を超えることは間違いあるまい。東芝の自己資本は約3500億円。赤字の額によっては自己資本が吹き飛び、債務超過に陥りかねない。

東芝の米原発子会社ウエスチングハウスが2015年末に買収した子会社の損失により、東芝は数千億円規模の赤字を計上する可能性がある。(写真:ロイター/アフロ)

「高値掴み」が転落の元凶

 2006年、東芝は三菱重工やGE‐日立連合と激しく競りあった末にウエスチングハウスを手に入れた。それは、東芝が原子力事業を経営の大きな柱として「選択と集中」を進めていくという宣言でもあり、メディアも華々しくとりあげた。だが結果的には、ウエスチングハウス買収こそが東芝転落の元凶となってしまった。

 ウエスチングハウスは2012、2013年度の2年間にわたり計約1000億円の減損を出し、それを隠そうとしたことが不正会計の始まりだ。業績悪化とウエスチングハウスの1000億円の減損で、東芝は債務超過の危機に陥ったが、子会社の医療機器メーカー売却でしのいだ。そのウエスチングハウスが今年度、数千億円規模の損失をだすという。だが東芝には売却によって埋め合わせできる資産はもう残っていない。

最後は「社長一任」で押し切ったか

 ウエスチングハウスは原発メーカーとして世界でも屈指の名門企業であり、2006年当時、原子力発電事業は右肩上がリだと多くのビジネスマンが考えていたことを斟酌すれば、ウエスチングハウスの買収自体を経営判断ミスだったと断じることはできないが、買収金額が高すぎた。東芝が買収に要した金額は50億ドル、6200億円である。これは当初予想された金額の2倍を超えていた。東芝経営陣の間でもそれが問題になったが、当時の西田厚聰社長は取締役会で「社長一任」をとりつけて押し切ったようだ。

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「東芝と味の素、命運を分けた買収劇」の著者

財部 誠一

財部 誠一(たからべ・せいいち)

経済ジャーナリスト

1980年、慶應義塾大学を卒業し野村證券入社。出版社勤務を経て、1986年からフリーランスジャーナリスト。BSイレブンの「財部誠一の『異見拝察』」などTVやラジオで幅広く活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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