豊洲を「小道具」にするな、都知事は政治決断を

土壌汚染と切り離し、市場としての安全性を検査すべし

小池都知事は豊洲新市場を政治問題化することには熱心だったが、「着地点」は考えていなかったのではないか。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

「政治ショー」に絶望する市場関係者

 豊洲市場問題を巡り、石原慎太郎元東京都知事がついに表舞台に登場する。

 東京都議会が百条委員会(注)設置を決め、石原氏の証人喚問を決めたからだ。豊洲市場の土地を東京ガスから取得した経緯などを明らかにするという。石原氏は証人喚問に応じるか否か現時点では不明だが「3月3日に記者会見を開いて、屈辱を晴らす」と語気荒くテレビカメラの前で語っているから、実現する公算が高い。追い詰められた千両役者が大見得を切るというのだから、世間の関心はいやがうえにも高まる。

(注)百条委員会:地方自治法100条に基づいて、自治体の事務に関する疑惑や不祥事を調査する特別委員会。国会に認められている「国政調査権」に相当する調査権があり、関係者の出頭、証言、記録の提出などを請求できる。正当な理由ない限り、証言を拒否すると、6カ月以下の禁錮または10万円以下の罰金に処せられる。偽証すると3カ月以上5年以下の禁錮となる。

 しかし卸売業者など市場関係者は、豊洲移転が五里霧中のまま、政治ショーばかりにメディアがスポットライトを当てる現実に絶望している。

「政治的野心実現のための小道具」と化す豊洲市場

 小池百合子都知事も東京都議もいまや最大の関心事は7月の都議選である。豊洲市場はいまや「解決すべき問題」ではなく「政治的野心実現のための小道具」と化している。石原元知事の責任を追及し、過去の経緯をつまびらかにせずには、豊洲騒動は終わらない。だがいくら責任追及したところで、宙に浮いた築地市場の豊洲移転問題は1ミリも前進しない。

 豊洲市場の地下空洞建設に関わったとされる歴代市場長など、都幹部を処分して、小池都知事は話題作りに成功したが、真相は何ひとつ解明されず、なんの問題解決にもつながらなかったことを見ればそれはわかる。

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著者プロフィール

財部 誠一

財部 誠一

経済ジャーナリスト

1980年、慶應義塾大学を卒業し野村證券入社。出版社勤務を経て、1986年からフリーランスジャーナリスト。BSイレブンの「財部誠一の『異見拝察』」などTVやラジオで幅広く活躍中。

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