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トランプ氏が分水嶺、民主主義と独裁のバランス

難局には「独裁的リーダー」が必要と言われるが

2017年2月9日(木)

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トランプ政権を“世界史的観点”から考える

 過ぐる年のアメリカ大統領選において、ドナルド・トランプ候補がブチ上げた数々の公約──。それらがあまりにも荒唐無稽で幼稚で、世界中の人々は彼がどこまでホンキなのか計りかねていましたが、いざトランプ氏が大統領になってみると、次々と「大統領令」を連発して、自らの公約を実現していこうとしています。

 こうした彼の動きに対して、世界の大勢は批判的ですが、一方で、トランプ大統領を支持する人が少なくないのも事実です。

 今回の講座では、その是非はひとまず横に置いておき、ちょっと視点を変えて、彼のこうした動きが“世界史的観点”からどのような位置づけにあるのかを見ていきたいと思います。

「民主主義」は転機を迎えている

 現在、多くの人たちは物心ついたころから「民主主義」の重要性を徹底的に叩き込まれているため、なかなか理解してもらえませんが、民主制というものは世界史の視点から見ると“普遍的”でもなければ“絶対善”でもありません。とりわけ20世紀末から今世紀にかけて、かねて信奉されてきた理想的な民主主義制度は、今の時代と少々、齟齬をきたしているのが現実です。

 その昔、世界中に封建制が広がっていた頃も、その時代にそこに生きた人々は「封建制こそ唯一絶対の統治システム」と信じて疑いませんでしたが、今や時代遅れとなって一掃されてしまったように、「民主主義」は今、大きな変化の時代を迎えているのではないかと私は考えています。

民主的と独裁的は表裏一体

 このことに関する詳細は拙著(『「覇権」で読み解けば世界史がわかる』[祥伝社]や『戦争と革命の世界史』[大和書房]など)に譲りますが、民主制と言えども完璧な制度であるはずもなく、その制度の内部に多くの欠陥を抱えています。民主制というのは、「泰平の世」にあっては比較的健全に機能しやすいのですが、「戦乱・混乱・頽廃の世」にあってはたちまち機能不全に陥ってしまう、構造的欠陥を持っているのです。

 世界史的視点からすると、国家が本当の存亡の危機に陥ったとき、これを乗り越えることができるシステムは「独裁」的な対応しかないのです。巷間、「独裁的=悪」「民主的=善」という幼稚なステレオタイプの考え方が蔓延していますが、そうとは言い切れないのです。

「神野正史の「人生を豊かにする世界史講座」」のバックナンバー

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「トランプ氏が分水嶺、民主主義と独裁のバランス」の著者

神野 正史

神野 正史(じんの・まさふみ)

予備校世界史トップ講師

予備校世界史トップ講師、世界史ドットコム主宰、歴史エヴァンジェリスト。誰にでも分かるように立体的に、世界の歴史を視覚化する真摯な講義は、毎年受講生から支持されている。近年はテレビや講演会でも活躍。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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