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日銀のマイナス金利がフィンテックを加速!?

施策の“先輩”欧州で起きていること

2016年2月5日(金)

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 2016年1月29日、日本銀行は原油安や中国経済の失速により世界経済の先行き不安が高まっていることなどを理由に、金融政策決定会合でマイナス金利の導入を決定した。既に欧州では、ユーロ圏、スイス、デンマーク、スウェーデンがマイナス金利導入に踏み切っており、英中央銀行のイングランド銀行でも一時導入を検討するなど、各中銀の金融政策ツールとして認識されつつある。

 欧州では、量的緩和での購入対象が限られる中、日銀は今後、マイナス金利が政策ツールの中心となるとの評価が一般的だ。一方、元々、欧州各国が金融危機や債務危機からの回復を目指してマイナス金利を導入したことと比較して、日銀は(量的緩和の拡大後に)低成長からの脱却手段としてマイナス金利の実施に至った背景には否定的な意見もある。

 日銀はマイナス金利が適用される範囲を限定するため、当座預金に適用する金利を3階層 にした。階層構造は欧州のマイナス金利導入国でも一般的であり、例えば、スイスでは、1000万スイスフランを上回る当座預金残高に対してマイナス金利を適用する2層式を採用している。デンマークでも同様に、各市中銀行に当座預金限度額が設定されており、それを超える部分にマイナス金利が適用される(小規模銀行は125百万クローネ以上:2016年1月時点)。

図表1 欧州のマイナス金利導入国の政策金利
(出所)各国中央銀行のWebサイトより大和総研作成

欧州ではマイナス金利を契機にフィンテックが加速

 マイナス金利の導入を受けて、欧州では、顧客の預金口座からマイナス金利分のコストを徴収する(預金を預けると利子が取られる)ケースが徐々に増加している。欧州の市中銀行はマイナス金利のコストを一部転嫁させ始めていたが、その多くが法人預金や富裕層の大口預金に限られていた。ただし経営体力が弱い小規模な銀行は、マイナス金利の負担に耐えられなくなり、小口リテール顧客に対してもマイナス金利の導入(利子の徴収)を開始したケースが報告されている。

 象徴的なのがスイスの銀行Alternative Bank Schweizで、スイスの銀行では初めて、2016年から小口リテール口座でマイナス0.125%のマイナス金利(10万フラン以上の現金はマイナス0.75%)を導入すると発表した。既にスイスでは、政策金利がマイナス0.75%に達しており、他国と比較してもマイナス幅が拡大しているため、収益に苦戦する小規模行は背に腹は代えられない状況からの判断といえよう。

 一方、良い意味でのマイナス金利の副作用として、金融と情報技術を融合したフィンテックの開発速度向上が挙げられる。真にグローバルでデジタルな銀行決済システムへの移行はこれからであるものの、マイナス金利を導入した欧州各国はフィンテックの活用により伝統的な融資業務や銀行決済システムのコスト削減に大きく舵を切っていることは興味深い。

 フィンテックの本質は、低コストで預金者、借り手、投資家など資金を必要としている人をダイレクトにつなぐことを可能とさせる点にある。Santander InnoVentures(スペインSantander銀行のフィンテック企業投資のベンチャーファンド)は、セトルメント、規制対応、グローバル決済の分野でブロックチェーンを活用することで最大年間200億ドルのコスト削減につながると指摘している。

 例えば、住宅ローン金利などは窓口対応などで一定のコストがかかる業務であり、貸出金利は下方硬直的となりマイナス金利の恩恵を被れない。フィンテックによる技術革新でさらに、融資審査のコストを低減できるならば、マイナス金利導入の恩恵を受けた借入金利の低下や、預金の利子負担回避は可能となる。

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「日銀のマイナス金利がフィンテックを加速!?」の著者

菅野 泰夫

菅野 泰夫(すげの・やすお)

大和総研ロンドンリサーチセンター長

1999年大和総研入社。年金運用コンサルティング部、企業財務戦略部、資本市場調査部(現金融調査部)を経て2013年からロンドンリサーチセンター長。研究・専門分野は欧州経済・金融市場、年金運用など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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