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欧州銀行を襲った信用不安の元凶「AT1債」とは

ビジネスモデルを変えられなかったツケ

2016年2月26日(金)

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 2月16日から日本銀行が導入したマイナス金利は、事前の予想を覆すイベントであり、その政策効果を見極めるためには当面の時間が必要だろう。その将来を考える上で参考になりそうな欧州では、マイナス金利の実施からすでに1年以上が経過するが、必ずしも中銀の思惑通りの政策効果が現れている訳ではない。むしろ銀行セクターの減益や赤字決算を契機に、マイナス金利が銀行収益を著しく悪化させたという見方が再び強まっている。

 まず、マイナス金利が欧州金融機関にもたらした影響について振り返っておこう。

 ユーロ圏の銀行においてマイナス金利の導入以降、貸出で伸びているのは家計向け貸出の殆どを占める住宅ローンであり、法人向けは伸び悩みを見せているのが現状だ。さらに家計の金融資産に占める有価証券投資比率を確認しても、マイナス金利が導入された2014年6月の前後1年間に大きなポートフォリオリバランスは無く、個人が積極的に預金から投資へシフトする様子は確認されていない(2013年第2Q:29.5%、2014年第2Q:29.8%、2015年第3Q:29.3%)。

 むしろ個人や企業は、マイナス金利導入以降、見通しの不透明さからキャッシュを保持したいというインセンティブが強くなったといわれる。

図表1 ユーロ圏の家計金融資産の推移
(注)有価証券比率は債券、投資信託、株式・出資金の総額
(出所)ECBより大和総研作成

スイスでは法人・富裕層から利子徴収を開始

 マイナス金利導入国の1つであるスイスでは、銀行の資金利ざやの低下に何とか対応するため、大手行を中心に法人預金・富裕層向け預金の利子徴収を開始するケースも散見される。

 その一方、中小規模の銀行は苦しくても他行よりも有利な預金金利を設定し、預金獲得競争を実施せざるを得ない。コストを強いられる分、経営体力が低下していることに違いないが、マイナス金利導入以降も大手行の預金量は減少傾向にある一方、地域金融機関の預金量は逆に増加するなどの状況も確認されている。

 スイスの銀行セクターはもともと住宅ローン貸出の占める割合が大きく、マイナス金利は住宅価格をさらに押し上げた要因になったといわれている。かつては、低金利・ユーロペッグを背景に、スイスフラン建ての住宅ローンが東欧諸国(ハンガリー、ポーランド等)などにおいても広く利用されていたなど、その認知度は自国に留まらない。

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「欧州銀行を襲った信用不安の元凶「AT1債」とは」の著者

菅野 泰夫

菅野 泰夫(すげの・やすお)

大和総研ロンドンリサーチセンター長

1999年大和総研入社。年金運用コンサルティング部、企業財務戦略部、資本市場調査部(現金融調査部)を経て2013年からロンドンリサーチセンター長。研究・専門分野は欧州経済・金融市場、年金運用など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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