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「仕事がない!」欧州エリートバンカーの苦悩

欧州銀行が米銀のように復活できない理由

2016年5月19日(木)

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 ロンドンで娘が通う学校の同級生の父兄は、なぜか金融機関に勤めている人が多い。多い時で月に2~3回開催される同級生の誕生日会では、子供そっちのけで、いつも親同士で景気動向や金融市場に関する話に花が咲く。

 そんな中、昨年特に多かったのが就職に関する相談である。駐在事務所の代表という筆者のポジションが分かると、“何か私にできる仕事はありませんか?”など、誕生日会の最中に切実な表情で積極的に話し掛けられることもあった。

 確かに2015年から今年にかけて、欧州銀行の人員削減は激しかった。比較的に勝ち組であった欧州銀行も同時に人員整理を進めたため、ロンドンには仕事探しに奔走する金融マンが溢れかえっていた印象を受ける。

 「子供が3人私立の学校に通っているが、夏から仕事が見つからない」「うちの銀行では常にリストラ対象を探しているので、次は自分の番かとビクビクしている」。誕生日に用意されたイベントで無邪気に遊ぶ子供達とは対照的に、英国人に限らずフランスやイタリアなど、ロンドンに集う多国籍な親達同士で、不況下に喘ぐ欧州銀行の不景気な話で盛り下がることもしばしばであった。

バンカーの高額報酬で収益性が高まらず

 残念ながら、筆者の駐在事務所内が採用できる可能性はないのだが、調査という職業柄、希望年収を尋ねてみると、筆者と同年代(40歳前後)からの回答の多くが「年収15万~20万ポンド(約2400万~3200万円)+ボーナスでどうですか?」と返ってきた。

 リーマンショック以前の超高額報酬とまではいかないが、高給であることには変わりない。ロンドンの大卒バンカーは、新卒採用時から年収5万ポンド(約800万円)の初任給でスタートし、5年目までに10万ポンド(約1600万円)を超えるのが(投資銀行業務に属する銀行員の)標準的な給与体系といわれている。ただし、金融街シティの高給取り達を羨ましいと思う半面、「バンカーは45歳、ソリシター(弁護士)は55歳が定年」という格言があるぐらい、競争も熾烈だ(日本の銀行員も多くが45歳前後で出向の憂き目に会うので大差は無いかもしれないが)。

 一方で、これほどの給与体系を維持しているため、欧州銀行の収益性が改善しないことにも納得がいく。図表1は欧米の大手31行の過去6年間(2010年12月期~2015年12月期)における経費(販管費・その他営業費用)の増減を対象国・地域ごとに示している(2010年12月期を100として指数化、内訳はユーロ圏8行、スイス3行、デンマーク3行、スウェーデン4行、英国5行、米国8行)。

 この図をみると、欧州の銀行は総じて高額報酬に代表される高コスト体質が、マイナス金利導入国が増えた2014年以降も変わっていないことが分かる。米銀と比較しても過去5年間の経費が上昇している。人件費に加えて、英国銀行に顕著であった罰金や訴訟費用の急増なども収益性低下を引き起こした原因といえよう。

図表1 欧米銀行の経費の増減推移
(出所) Bloombergより大和総研作成

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「「仕事がない!」欧州エリートバンカーの苦悩」の著者

菅野 泰夫

菅野 泰夫(すげの・やすお)

大和総研ロンドンリサーチセンター長

1999年大和総研入社。年金運用コンサルティング部、企業財務戦略部、資本市場調査部(現金融調査部)を経て2013年からロンドンリサーチセンター長。研究・専門分野は欧州経済・金融市場、年金運用など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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