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日露会談、領土問題の先にある巨大な“果実”

ロシアへのインフラ輸出は日本経済を潤す

2016年10月18日(火)

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今年9月、ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで会談した安倍首相とプーチン大統領(写真=TASS)

 ロシアのプーチン大統領の来日まで後2カ月余りとなった。

 12月15日には安倍総理の故郷である山口県長門市で首脳会談が行われる予定である。サミットでは、「静かな環境」の中で両首脳が膝突き合わせて行うフェイス・トゥ・フェイス(直接)会談が重視される模様である。今回の首脳会談の結果は大きく注目されており、領土問題の解決に向けた進展や近い将来の平和条約締結への期待が寄せられている。

 戦後70年余りを経ても双方の歴代リーダーたちによる領土問題解決に向けた努力が実らず、日露間では平和条約がいまだに締結されていない状況が続く。ただ、この「異常状態」が今度こそ打開できるのではないかと期待する声が高まっている。実際、根拠はいくつか存在する。

 一つは日本政府がロシア側に提示した、経済協力関係の拡大を重視する8項目からなる新アプローチの「形」と「中身」の効果である。このアプローチの強みは、目に見える形での経済協力をとっており、過去にはなかった新たな挑戦ということである。

 これまで、70余年に渡り続いてきたロシアへのアプローチは、実質的に何の成果も得られず、失敗だったと言わざるを得ない。日本政府側にも、従来のアプローチを変えない限り、交渉が成功する可能性はゼロに近いという焦燥感はあるだろう。

 その変化の結果が、新アプローチの中身ということになるが、ここでのポイントは、ロシア側が重視している経済協力関係の拡大に焦点を当てたことだ。ロシア人がよく使う「共同経済活動」を重視したアプローチは、相手の要望に耳を傾け譲り合う姿勢を示している。この点が、従来の日本政府にはない変化であり、関係者に今回の会談が成功につながる期待感を与えている。

 もちろん、その最終的なゴールは領土問題の解決だ。仮に新アプローチが領土問題解決につながらないのであれば、こうしてロシアへの経済協力ばかりしていいのか、という疑問の声は実はよく聞かれる。

 ただ、ここで重要なのは、視点を領土問題から少しずらし、対ロシアの新アプローチは日本経済にどういう影響を与えるかについて考察することである。なぜなら、外交戦略である「新アプローチ」は事実上、対ロシアに限らず世界を舞台にした日本政府のインフラ輸出戦略そのものだからである。

コメント13件コメント/レビュー

また平和条約の締結が実現しない可能性から見ると、ISIS絡みの中東でのロシアの動きは、日本が属している米国中心の世界と相容れないし、北朝鮮に関しても同様です。
このまま安倍首相が進めたとしても、最後のところで断念させられるような気もします。日本がというより、世界からの圧力で。
世界から見れば、極東の島国のさらに端っこの小さい島の帰属より、ISISや北朝鮮の問題の方が遥かに重いからです。ロシアが絡んでなければ日露で粛々と進めるだけなのに、非常に悪い意味で絡んでしまっている。
果実に目が眩んで全体を見失うと日本は大きなものを失うかもしれません。(2016/10/20 09:01)

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「日露会談、領土問題の先にある巨大な“果実”」の著者

菅野 沙織

菅野 沙織(すげの・さおり)

エコノミスト

モスクワ生まれ。中央大学の研究生として来日後、2002年日本に帰化。2006年大和総研入社、2014年から大和証券キャピタル・マーケッツヨーロッパのエコノミスト、2016年から現職と兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

また平和条約の締結が実現しない可能性から見ると、ISIS絡みの中東でのロシアの動きは、日本が属している米国中心の世界と相容れないし、北朝鮮に関しても同様です。
このまま安倍首相が進めたとしても、最後のところで断念させられるような気もします。日本がというより、世界からの圧力で。
世界から見れば、極東の島国のさらに端っこの小さい島の帰属より、ISISや北朝鮮の問題の方が遥かに重いからです。ロシアが絡んでなければ日露で粛々と進めるだけなのに、非常に悪い意味で絡んでしまっている。
果実に目が眩んで全体を見失うと日本は大きなものを失うかもしれません。(2016/10/20 09:01)

見る限り、ロシア側の代弁者という立ち位置が強いようです。
ロシアは今までの仕打ちと行動から信用が無い事を強く意識するべきである。
そのうえで経済協力や活動で言えば、日本に旨みが非常に薄い。
約束を簡単に反故にする所からして、
まず、国益的にも日本と同調出来る、「北朝鮮や中国に対して日本側の立場を取る」
という約束をして履行する所から始めよう。
ウクライナに対して西側の陰謀もあるのでウクライナの分割が現実的な路線として
日本が対立の仲裁をし、ロシアとも友好をという方向なら良いかもしれない。
間違っている所には批判するという立ち位置に日本が立つ。
ロシアが間違っていれば対立。その意味でも経済も深入りは無理でしょう。
信用の問題でシベリア鉄道や電力の話も気が進まない部類。(2016/10/18 22:14)

言いたいことはわかる。果実を結べば日本経済を潤すことになるだろう。領土問題も解決しなければならない。
だが、サハリン2のようなことを平気でやる国である。十分な信頼関係が熟成されているだろうか?疑ってかかる必要があると思う。(2016/10/18 16:42)

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