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「シン・ゴジラ」に学ぶ、期待値調整

第8回:打ち上げを巡るPDCAを振り返りつつ

2016年11月1日(火)

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 映画館で泣くほど、「シン・ゴジラ」に心を打たれた村上社長。しかし、本編以上に注目したのが「シン・ゴジラ」の「予告編」。あえて観客の期待を高めようとしないかのようなつくり。そこに、経営者としての自分自身の経験が重なった。例えば、全社員が一堂に会する納会の食事をめぐる社員との攻防。プレミアムビールを出すべきか否か……。大ヒット映画の考察から、PDCAサイクルを回すときの葛藤に話題は及び、自社の経営を振り返る。
(前回は、こちらをご覧ください)

(C)2016 TOHO CO.,LTD.

「シン・ゴジラ」

12年ぶりに復活した、東宝のゴジラ映画シリーズの最新作。2014年に、ハリウッド版「GODZILLA」が大ヒットした後、制作が発表された。総監督、脚本などを「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明氏が務めることでも話題に。庵野氏が構成・編集した予告編は、2016年4月に公開され、本編は7月29日に公開。40日間で観客動員数420万人を突破し、平成に入ってから公開されたゴジラ映画としては、最高を記録している。

 米国でも人気上々という、映画「シン・ゴジラ」。「ビジネスパーソンが見て、思わず何かを語りたくなる映画」を挙げるなら、間違いなく今年ナンバーワンではないでしょうか。

 なぜなら、この映画は、組織で働く人であれば、誰もが直面したことのある葛藤の数々を描いているからです。

 例えば、ゴジラがもたらした大災害について、政府が記者会見を開く直前、首相がスーツから防災服に着替える。あのシーンなどは象徴的だと思います。合理的に考えると、明らかに何かがおかしい。しかし、組織の論理としてそうなる事情も察せられ、何とも切ない気持ちにさせられます。

 ほかにも、組織の意思決定のプロセスに個人の思惑が働くやるせなさや、そこで自分自身の正義感が理解されない悔しさ、評論家のような当事者意識の希薄な発言へのイライラなど。

 経営者として自分の経験と重ね合わせられる部分も多く、正直、映画館で何度も泣きました。

 ただし、本編についての感想はこれでおしまい。すでに多くの人がメディアで語っているので、そちらに譲るとして……。

予告編と本編にギャップ?

 「シン・ゴジラ」には、私が本編に負けず劣らず、興味をそそられたポイントがありました。それは予告編です。

 こんな疑問を覚えるのです。

 あの予告編、十分なインパクトがありましたか?
(興味のある方は、公式ホームページからご覧になってみてはいかがでしょうか)

 予告編で描かれるのは、主に「暴れるゴジラ」と「ゴジラと戦った人たち」。フルCGでありながら、まるで着ぐるみのような「暴れるゴジラ」の印象が強すぎて、よもや「ゴジラと戦った人たち」が、信念を持って組織のなかで葛藤する心理がリアルに描かれているとは、あの予告編からはまったく想像できませんでした。

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「「シン・ゴジラ」に学ぶ、期待値調整」の著者

村上 太一

村上 太一(むらかみ・たいち)

リブセンス社長

1986年東京都生まれ。大学1年生のとき、リブセンスを設立。11年2月、25歳1カ月で東証マザーズ上場、12年10月、25歳11カ月で東証一部に市場変更。ともに史上最年少記録を更新した。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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