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企業内研修の頂点、GEクロトンビルが変わった

カリスマ選抜からチームワーク重視へ

2016年1月15日(金)

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 本誌1月11日号特集「日本が危ない」では、会社を変革できるリーダーが日本には少ないことにも警鐘を鳴らした。一方、企業内のリーダー育成機関の最高峰とも言われているのが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のクロトンビル研修所。そこでは最近、教育内容が大きく変わってきているという。日本GEの熊谷昭彦社長に、クロトンビルの“今”を聞いた。

日本GEの熊谷昭彦社長(写真:的野弘路)

GEと言えば、リーダー育成が有名です。日本でも、“プロ経営者”としてGE出身者の名前を聞くことは少なくありません。GEの人材育成には、どのような特徴があるのでしょうか。

熊谷:まず、GEは年間10億ドル規模の資金を人材育成に投じています。その大半が、世界初の企業内ビジネススクールとして1956年に誕生したクロトンビルの研修所の運営に費やされています。さらに、経営トップのジェフ・イメルトは、自分の時間の3分の1を人材育成に費やしていると話しています。それほど、GEはリーダー育成にコミットしているということです。私も含め、GEで組織のトップに立つ者は、数字で結果を出すことに加えて、人を育てることも同じくらい重要だと叩き込まれています。

 GEにおけるリーダー育成の特徴は、若いうちから様々なチャレンジを与えて、その成果を公正に評価して、見込みのある人材には次のチャレンジを新たに与えて経験を積ませていくことです。それが、リーダーを育てるうえで、最も大切なことだと考えています。私も40代半ばで最初の会社を任され、今は5つ目の会社で社長をしています。

 その一方で、クロトンビルでのリーダーシップトレーニングも重視しています。GEでは、キャリア上のチャレンジから得られる経験と、リーダーシップトレーニングで学んだ内容の両方が積み重なってこそ、リーダーは育つと考えられています。

ウェルチの時代までは「カリスマ」を育てた

クロトンビルでは、どのような教育がなされているのでしょうか。

熊谷:最近、クロトンビルで特に重視されているのが、コーチングです。部下から相談を持ちかけられたときに、「こうしなさい」「ああしなさい」と指示するのではなくて、「なぜ困っているのか」「どういう背景があるのか」など様々な質問をして解決策を本人に気付かせるというスタイルです。

 昔は、誰が見てもこの人がリーダーだというカリスマ性を持つ人材を厳選して育てるという時代もありました。そうした人を早期選抜して、特別な教育を受けさせていました。(前会長の)ジャック・ウェルチの時代までは、そうだったと言えるでしょう。当時のGEは、カリスマがある強いリーダーが「こうなんだ」と言い切って、腕力で部下を引っ張っていくのが良しとされていて、それがウェルチ自身のスタイルでもありました。

 しかし、私たちは、今はそういう時代ではないと考えています。いろいろな人を育てながら、将来の若者たちをリードできるようなリーダー層をできるだけ増やそうと考えるようになりました。もっと社員の気持ちになって、社員の言い分にも耳を傾けていこうと。

 この変化は、GEのビジネスのやり方が変わってきていることにも起因しています。これまで以上にカスタマーセントリック(顧客中心)で事業を展開するためには、顧客が本当に要求していることを理解する能力が重要になります。これまでのように、インサイドアウトで私たちが良かれと思っているものを顧客に届けるのではなく、アウトサイドインで顧客が本当に必要としているサービスやソリューションを届けなければならないという問題意識です。

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「企業内研修の頂点、GEクロトンビルが変わった」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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