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無宗教でも楽しめるボッティチェリの宗教画

2016年2月27日(土)

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 東京都美術館で開かれている「ボッティチェリ展」に出かけた。サンドロ・ボッティチェリ(1444/45~1510年)は、イタリア・ルネサンスを代表する画家の一人。日本でも多くの人が、貝殻の上に裸身の女神を描いた構図などに見覚えがあるのではないだろうか。

 展示室に入ると、そこには想像を超えた世界があった。出品作の中でボッティチェリの作品は20点ほど。ボッティチェリの作品は世界に100点ほどしかないと言われる中では上々の点数だ。しかし、数字は展覧会のよしあしを決める本質ではない。

 何よりもよく思えたのは、宗教の下地が西洋人とは異なる日本人にも見応えがある秀作がいくつもあったことだ。筆者自身も無宗教なので、宗教画をどこまで本質的に受け止められるかと問われれば、自信があるわけではない。それでも享受できる豊かさが、会場を埋めた作品にはあった。

ラピスラズリの青に魅了される

 イエスが聖母を見つめるまなざしに人間味を感じる《聖母子(書物の聖母)》と題した作品は、美しさに満ちている。中心で鮮やかな印象をもたらしているのは、ラピスラズリという顔料の鮮やかな青で描かれたマリアの衣装。聖母子の光輪やイエスが左手にくぐらせた茨状の輪、イエスを包む衣の一部など、多くの描写に金が施されている。

 背景にある花かごは、いかにもボッティチェリらしく、美の演出に一役買っている。しかし、この絵で最も大きなアクセントになっているのは、タイトルの一部にもなっている書物の存在だ。

サンドロ・ボッティチェリ《聖母子(書物の聖母)》(1482~83年頃、テンペラ、板、ミラノ、ポルディ・ペッツォーリ美術館蔵 © Milano, Museo Poldi Pezzoli, Foto Malcangi)

ルネサンス時代、書物は手作りの工芸品だった

 西洋の宗教画や歴史画に書物が登場するのは珍しいわけではない。しかしこの絵の書物はなぜか特に目を引く。理由を考えて思い当たったのが、書物がまだ大量印刷の産物ではなく1点ずつ手作りだった時代の、工芸品的な魅力が輝いていることだった。

 15世紀にグーテンベルクが活版印刷の技術を発明するまでは、西洋では多くの書物の文字を一冊一冊に手で書いていた。加えて文字を飾って絵のようにしたり、彩色を施したり、金などをあしらったりすることもあった。書物は手作りの工芸品だったと言ってもいいだろう。

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「無宗教でも楽しめるボッティチェリの宗教画」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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