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画家はなぜヌードを描くのか

黒田清輝の女性像をじっくり見る

2016年4月30日(土)

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 女性の立ち姿のヌードを3つ並べて異なるポーズを描き、《智・感・情》というタイトルをつけた3枚1組の絵画。古今東西の美術作品を眺めてきた筆者のささやかな経験の中では、ギリシャ神話の三美神を1枚に描いた作品を目にしたことはあるが、3枚にヌードを描き分けて一つの作品にした類例を見た記憶がない。とにかく特殊。学生の頃から何度か見て記憶の底に焼き付いていた。黒田清輝(1866~1924年)の作品だ。

黒田清輝《智・感・情》
(1899[明治32]年、油彩、カンヴァス、各180.6×99.8cm、東京国立博物館蔵、重要文化財)

 東京国立博物館平成館で開催中の特別展「生誕150年 黒田清輝─日本近代絵画の巨匠」の会場でこの作品と久しぶりの再会を、と見に行ったら、裸体画の章を割り当てた一画があったのに、そこで《智・感・情》は発見できなかった。「出品されているはずなのになぜだろう」と頭の中に疑問符を浮かべながら歩を進めると、最後の展示室の主役としてトリを飾るように壁に掛かっていた。展覧会の企画者も《智・感・情》を特別な存在と捉えているのだろうと納得した。

東洋と西洋がこれでもかと混在

 作品の前に立つ。まず訴えかけてくるのは、プロポーションが整った裸体の美しさだ。どの女性像も、顔の長さと身長の比率は1:7くらい。「八頭身」という既成の言葉を当てはめてもいいだろう。しかも、足が著しく長く、身長のちょうど半分くらいはある。

黒田清輝ポートレート

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「画家はなぜヌードを描くのか」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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