• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「ポケモンGO」に負けない大妖怪展の楽しさ

2016年8月6日(土)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 日本の妖怪の絵は、とにかく楽しい。子どもの頃から妖怪をテーマにした映画や漫画、アニメを楽しんできた身ゆえ、そんなことは分かっているつもりでいた。江戸東京博物館(東京・両国)で開かれている「大妖怪展」の会場に足を運ぶと、その想像以上の楽しさが待ち受けていた。作品から作品へと目を移すたびに、ぷっとつい吹き出してしまう。そんなことが続いたのだ。そして、江戸時代辺りの妖怪絵も、「ああ、これはすでに今の漫画やアニメの趣だな」と実感した。

 この展覧会では最後にゲームやテレビアニメで今の子どもたちに人気がある「妖怪ウォッチ」の展示室を設け、現代につないでいる。一方、モンスターすなわち化け物をルーツに持つ「ポケットモンスター」に基いて生まれたオンラインゲーム「ポケモンGO」が、奇しくも世の中を騒がせている。だが、江戸以前の妖怪もまったく負けていない。

 たとえば、この展覧会を見終えて何度も思い出したのが《稲生物怪録絵巻》。何とひょうきんな絵なのだろう。首が途中から手になっている女の妖怪は、下で寝ている男にいったい何をしようとしているのか。男の方にも怖がっている様子はなく、むしろとぼけているようにさえ見える。寝ている男は、稲生平太郎という16歳の少年。絵巻の全体は、30日間続々と現れる化け物に耐え、化け物たちが立ち去ったという武勇伝なのだそうだ。

《稲生物語怪録絵巻》(部分)
(万延元年[1860年]、個人蔵、三次市教育委員会提供)
※会期中、巻替あり

 後ろの掛け軸に描かれている円山応挙風の犬2匹がまた、いい味を出している。まるで妖怪女と男の様子を絵の中から眺めているようだ。豊かな発想の表れである。現代において、すべてのアイデアはすでにあるものの組み合わせから生まれるといわれることがある。この絵は、その典型ともいえようか。パーツパーツを取ると、実在するものばかりだ。そもそも頭と腕から先しかないという奇妙な妖怪を、よく思いつくものだ。

 日本人の画家としてはおそらく世界で最も著名な、浮世絵師の葛飾北斎は、数々の怪奇系の絵を描いている。この展覧会の出品作《天狗図》は、特に気が利いていた(展示は終了した)。天狗は空を飛ぶ。だとすると、蜘蛛の巣と巡り合うこともあるかもしれない。しかし画面ではまったくもがく様子を見せず、むしろ悠然としている。余裕で蜘蛛の巣を避けているのだろうか。しかも天狗は通常人間大と認識されているだろうから、蜘蛛の巣としては相当巨大だ。仮にミニ天狗だったとすると、今度は別の想像を呼ぶ。

コメント0

「小川敦生のあーとカフェ」のバックナンバー

一覧

「「ポケモンGO」に負けない大妖怪展の楽しさ」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人々が働きたいという会社になるには 「働きやすさ」と「働きがい」、この2つが必要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長