• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

トイレをハレの場に~大分市の市街地で類例のない芸術祭

2015年9月12日(土)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 壁に描かれた色鮮やかな富士山のペンキ絵。昔ながらの銭湯でなじみ深い光景だ。大きな湯船と高い天井を持つゆったりとした空間で、1日の汗を洗い流す。銭湯は、爽快な場所である。ところが、同じような富士山の絵がトイレの壁に描かれているとしたら…。

 実際に描かれている場所がある。大分市の繁華街にある「二代目与一」という料理店のトイレだ。男性用トイレのドアを開けると、壁の上半分に富士山を構図の中心に据えた風景画があった。“富士山の絵は銭湯”という常識の裏をかくしつらえに、はっとする。

宮崎勇次郎《旅するトイレ》

 手前には竹や筍が描かれ、店のご主人と思しき人物が猫と並んで描かれた絵が掛けられている。極彩色の風景画が空間に華やぎをもたらすのはもちろんのことだが、日常では普通ない世界に足を踏み入れたような気分になるところが小気味いい。同時に、見慣れた風景という感覚があるからだろうか、ほっとしている自分に気づく。

 描いた宮崎勇次郎は、大分市内にある実家が銭湯を経営しているという美術家だ。東京の美大に通っている時に、専門の絵師から銭湯絵の手ほどきを受けた履歴を持つ。

宮崎勇次郎《旅するトイレ》が設置されている「二代目与一」

 考えてみれば、トイレで用を足すことは、体内から不要物を排出して体を清める行為ともいえる。そのための空間でアートが独特の空気を醸成し、中にいる人の気持ちを変えてくれるなら、あり方としては宗教美術に近いのかもしれない。

コメント0

「小川敦生のあーとカフェ」のバックナンバー

一覧

「トイレをハレの場に~大分市の市街地で類例のない芸術祭」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

企業や官公庁の幹部のメールボックスの内容が、まるごと数十万〜数百万円で売られている事例もある。

名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官