• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

無名作家の印象派表現が個性的な美しさを放つ

2015年9月26日(土)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 高さ1.7メートルの縦長の画面に大きく描かれた白いドレスの女性像。19世紀後半から20世紀前半のフランスで活動した画家、アンリ・マルタンの《野原を行く少女》だ。

アンリ・マルタン《野原を行く少女》
(1889年、油彩、キャンヴァス、個人蔵)

 絵の具を点のように細かく置く描き方は、モネやルノワールの印象派作品を彷彿させる。画面全体が明るいイメージに満ちているのも、印象派的な手法を導入した成果だろう。東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で開催中の「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20’ Paris」展に出品されている作品だ。

 この絵には、目を引きつけて離さない要素がある。身にまとっているかのように肩から足下の辺りにかけて描かれているたくさんの花だ。描かれた少女は本当に大きな花輪を肩がけにしていたのだろうか。もしそうだったとしても、花はまるで蝶の群れか何かのように描かれており、宙を舞っているような幻想的な雰囲気を漂わせている。太陽の光が降り注ぐ野原の中に立つ少女の姿はそれだけでも明るいイメージを放つが、花の彩りは画面にさらなる華やぎをもたらし、幸福感を添えている。

肩に掛かる花の効果は絶大だ

 作品が描かれたのは1889年。74年に始まった印象派展の最終回となる第8回が開かれた3年後である。マルタンには、印象派展に出品した経験はなかった。一方、作風を取り入れているので、近年でも「新印象派」の画家として展覧会などで取り上げられることがある。だが、知名度が高い画家とはまだ言えない。

マルタンの作品が展示されているコーナー。《野原を行く少女》の右にかかっている横長の作品《収穫》も、点描を特徴としている

 それにしても、現実の光景をそのまま描いたかどうか分からない花の効果は絶大だ。理屈抜きで美しさを楽しめる。モネやルノワールにはなかったたぐいの、モチーフとしての強い主張もある。西洋絵画は革新の積み重ねの歴史だが、この作品には革新と言えるほどの斬新さはない。だが、美しさを究極まで追求しようとした画家の心が見える。

コメント0

「小川敦生のあーとカフェ」のバックナンバー

一覧

「無名作家の印象派表現が個性的な美しさを放つ」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「絶対これしかありません」というプランが出てきたら、通しません。

鈴木 純 帝人社長