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おカッパ頭に丸メガネ、ペインターFの正体を見る

資生堂ギャラリーの展示から戦争と画家の関係を探る

2015年11月7日(土)

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 今年は、洋画家、藤田嗣治(レオナール・フジタ、1886~1968年)の当たり年のようだ。大規模な個展が開かれたわけではない。だが、東京国立近代美術館では収蔵している藤田の作品全25点を見せる特集展示があり、戦争画14点を一挙に公開したことに注目が集まっている。今月中旬には藤田を主人公にしたオダギリジョー主演の映画「FOUJITA」が封切りになる。

 秋田市の秋田県立美術館では、藤田ゆかりの「まぼろしの美術館」を、数年前に発見された設計図を基にCGと模型で再現する展示を実現した。「まぼろしの美術館」は、日中戦争の頃、藤田が秋田で描いた幅20メートルの大作油彩画《秋田の行事》(1937年)を収蔵する前提で工事が始まりながらも、すぐに建設が頓挫したものだ。

 そして今、「小沢剛展:帰って来たペインターF」が資生堂ギャラリーで開かれている。ここでは、気鋭の現代美術家である小沢が、藤田の生き様に光を当てている。

 小沢が展示のメインにしているのは、油彩画の連作だ。一人の主人公を設定し、各画面に登場させている。主人公の名前は、展覧会の副題にもある「ペインターF」。おかっぱ頭に丸メガネをかけ、鼻ひげを生やしている。藤田のあの印象的な顔をちらりとでも知っている人なら、小沢が描いたペインターFと同定するのは難しいことではないだろう。

資生堂ギャラリーで開かれている「小沢剛展:帰って来たペインターF」会場の風景。ヨーロッパで大成功したペインターFの元には、大勢の人が訪れたようだ

 資生堂ギャラリーは、資生堂パーラーなどが入っている東京銀座資生堂ビルの地階にある。エレベーターを降りて目の前にある受付のすぐ先に掛かっていたのは、多くの西洋人がペインターFの周りに集った場面を表した絵だった。ところが、左端にもペインターFがおり、絵筆を持ってカンバスに女性の絵を描いている。1920年代にパリでスター画家となっていた藤田の姿を彷彿させる。解説用紙に書かれた「Painter F Song」の歌詞には、「深夜2時を回っても、彼らのバカ騒ぎは終わらない。(中略)彼の制作はようやく明け方に始まる。終わる時間など誰も知らない」とある。ペインターFが2人いるのは、時間の推移を1枚に描いた「異時同図法」のような表現なのだろうか。基調のセピア色が、描かれた場面が「過去」であることを強調している。「物語」はここからスタートする。

資生堂ギャラリーで開かれている「小沢剛展:帰って来たペインターF」会場の風景。ペインターFは裸婦を描くのが得意だったようだ

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「おカッパ頭に丸メガネ、ペインターFの正体を見る」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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